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2017年12月 3日 (日)

No.180 : 有力メーカーの不正事件の続発に想う (2)

14.  前回で記した種々のケースに共通するのは、経営幹部が生産現場の実態を知らず、知ろうともせず、現場の部長クラスに丸投げしているのではないかと云う疑念です。
例えば、自社の生産原場を定期的に視察する方は、どれ程いるでしょうか。
こう云うと、現代のハイテク工場は大規模で高度、且つ複雑多岐にわたるから、専門知識を持たぬ経営幹部が短時間の視察をしても意味が無い、などとの反論もあるでしょう。
しかし、職場の空気を引き締め士気を高め、不祥事を防ぐ効果を期待できます。
 
15. 経営幹部は、自社の製品について業界での位置付けを明快に認識しているでしょうか。その位置付けの細部に至るまで把握しているでしょうか。その位置付けを向上させるための施策や具体案を常に考究しているでしょうか。
 
16. 多くの大企業では、経営幹部の大半は、いわゆる文系出身です。彼らは 「細かい技術の内容」は知らなくても、大局観を以て総合的な経営判断は出来る」 と云うような発言をしたがります。その説を全否定はしませんが、実績で示して頂きたいものです。
 
17. 高度成長期に活躍した経営者には、技術系出身で生産原場に強い関心を持った方が、かなり存在しました。 S社の創業者 I.M 氏、H社の創業者 H.S 氏、M社の創業者 M.K 氏、などが代表的な方です。これらの方は技術者として傑出し、経営者としても成功を収めました。 
低成長期に入ってからは、このような人材が減少したように感じます。
 
18.  低成長期に入ってからは、未踏分野の開発にリスクを賭けるよりも、既存分野の合理化を図り利益を得ようとする経営姿勢が目立つようになりました。そのために、経営幹部は財務・労務などの文系人材が主流を占める傾向が有ったようです。
 
18. 日本の高度成長の頃、米国内では 「企業の首脳が有名大学院卒の経営学修士 (MBA) で占められたが、彼等は生産原場を知らず、紙上に現れる収益のみを追い求めた、これが米産業の衰退の理由だ」 という論議が有ったようです。このような反省は、現在の日本についても、云えるのではないでしょうか?
 
19. 迷論を云うなならば、高度成長期は戦国乱世期に、低成長期は平和安定期に相当するのではないでしょうか? 戦国期には武力の傑出した人物が大名となり天下を獲得しました。平和期になると武士であっても財務・管理に長けた人物が実権を握るようになりました。 この実権者交代の傾向は歴史の節目ごとに見られ、近代社会でも同様であると老生は愚考します。
 
20. 現代について敷衍するならば、アナログ電子機器業界の角逐で日本は世界に覇権を得ました、開発競争・生産競争に勝ち抜いたのです。その主役は技術系人士でした。 やがて、開発途上国にも技術が流出して、そのレベルが上がってくると、日本の技術優位性が失われ、価格競争の時代になりました。こうなると、コストダウン・合理化が主題となり、文系の管理屋の発言力が強くなるわけです。
つまり、戦国期から平和期に移行したというアナロジーが見られます。
 
21. ところが平和期と思われていた時期にも、一方ではデジタル電子機器の熾烈な競争が始まっていました。この競争に、日本は出遅れました。平和期の対応に腐心していて、次なる胎動への目配りに欠けたからでしょう。その一因は、技術に疎い管理・財務系の幹部が主導していたからです。デジタル電子機器の覇権は米国に移りました。
 
22.   米国はデジタル電子機器で傑出しましたが、設計開発は自社で行い、生産は海外に委託する水平分業なるシステムを編み出しました。 日本は自社および傘下の下請けで全てを処理する垂直統合シスエムで成功した体験から抜け出せず、コスト競争で苦戦し、じり貧状態に追い込まれました。
このようなビジネズ・モデルの変換期に遭遇して、「大局観を持ち、総合判断できる」 と自称する文系出の経営陣諸侯は如何なる決断と行動をとれるのでしょうか?
 
23. さらに急速に発展する IT ビジネズ の特質は技術開発と市場開発が密接に絡み合う事です。新しい技術を応用して新市場が生まれる一方で、市場の新しい要望が次なる新しい技術を生み出す。このような関係が双方向に急速に進みます。このような相互関係は従来から在りましたが、近年は特に著しくなりました。即ち既に戦国乱世の様相を呈しています。
このような事態にはトップの即断即決が求められます。これを適時適切に行える文系出のトップは、存在するでしょうか?
 
24. 電機・電子の名門企業であるT社が不振に陥り、高収益のメモリ部門を売却するというニュースは業界人に衝撃を与えました。米の名門WH社の原子力部門を買収したのが重荷になったと伝えられます。同社は既に医用機器・白モノ家電・パソコンなどを切り売りして来ましたが、原子力部門への集中投資に依って起死回生を図ったものの、期待に反して赤字を増大させたようです。
この例など、"大局観" も "総合判断" も実効が無かったようです。
 
25.  T社のメモリ部門ではフラッシュ・メモリが儲け頭で、これを発明したのは天才的な研究者と評され、海外でも高く評価されていたそうです。ところが、同氏は優遇されることなく、大学に移籍しました。経営判断に失敗した首脳は居直り、技術で貢献した研究者は冷遇される、このような経営姿勢は問題だと感じます。しかし、このような事例は他に幾らもあります。
 
26. 終わりに。 
思いつくままに、アトアンダムにに妄言を書き散らしました。吉田兼好法師は 「おぼしき事云わぬは、腹ふくるる業なれば・・・・・」 との名句を残しました。老生の心境も、そのとおりです。
                                                  <以上>
 
 
 
 

2017年11月25日 (土)

No.179  有力メーカーの不正事件の続発に思う (1)

1. 去る24日のニュースは「M 社」のデーター捏造を報じました。この数年、有名メーカーのデーター捏造や無資格者による検査などの不祥事が頻発しています。日本の製造業は高性能で高品質の製品を世界に輸出して、好評を得ていたのですが、かかる不詳事の続発は、数十年を超える研鑽・努力によって得た名声と信用を失いかねないと憂慮されます。
 
2. 老生はリタイアして既に20数年になりますが、40年近く電子産業の企業で研究・開発に携わっていました。1960年代に始まった高度成長の一端を支えた経験を持ちます。
その老生から見ると近年のモロモロの不詳事例を見聞すると 「何たるザマか」 と憤りを感じます。
 
3. しかしながら何人も、このような事件を好んで起こすとは考えられません。それにも関わらず、幾多の業種で頻発するには、相応の事由・背後関係が潜在すると思われます。そこで、老生なりの 「やぶにらみ的妄言」 を試みます。
 
4. 先日のY新聞記事は、「収益に片寄つた経営姿勢」 と経営幹部は説明し、「これぐらいなら問題ないのでは」 と現場が軽く見た、と報じていました。
この解説は誤りではないでしょうが、老生は違和感を持ちます。
 
5. 企業組織において、経営幹部と製造現場は対等の関係では有りません。厳然たる上下の力関係が存在します。 
企業が利益追求の組織です。経営幹部は口を開けば、「成果を出せ」 「数字で示せ」 と要求します。ここまでは良いとしても 「言い訳を云うな」 と釘をさすのが常態です。
 
6. さらに、「オレは細かい事は知らない、無理難題は承知しているが、それを何とかするのが、お前らの役目だ」 との放言も日常茶飯事です。
このように連日攻め立てれると、直接に業務を受け持つ現場管理職のクラスは、一時逃れとして軽微なルール違反には目を瞑つても、生産ノルマの帳尻合わせをするケースも生じ得ます。
 
7. こう云うと、「経営幹部の機嫌を損ねても、現場の実態を直言すべきだ」  と評論家諸氏は批判しますが、実際には殆ど不可能でしょう。また、欧米ならば「無理だ、不可能だ」 と明言するが、摩擦を嫌う日本人は云わない、などと海外の例を持ち出す「・・・ではの守氏」も現れます。
このように批判する人々は自由業かそれに近い立場の方で組織の力学をご存知ないようです。
 
8 .また、テレビなどで紹介される町工場の「ものつくり名工」を引き合いに出して、大組織の技術人の劣化を論難する方も居ますが、その比較は適切ではありません。彼等の属する小企業での製品は一人もしくは数人の判断で処理できる範疇の製品か、ハイテク製品を構成する一部品です。
彼らが優れた 「匠の技」 を駆使しても、一人あるいは数人で今日のハイテク製品 (完成品) を量産することは出来ません。
 
9. 28日のY新聞は 「日本のモノ作りは大丈夫か」 というタイトルの1頁記事で3人の意見を載せていました。有名メーカーの技術系役員であったS.J氏は、基準が高く設定されていたと指摘し、その根拠としてK社の素材を使った諸製品が強度不足で破壊したという例を聞かない、と説いています。氏は続けて、時代の変化とともに素材の特性や使用法も変わる、それに対応して基準の見直しが必要だとも記しています。それがコストダウンに繋がり、イノベーションを生むとも主張しています。
 
10. 同じ紙面で町工場を経営するA.T氏も日本のオーバースペック  (過剰品質) 指摘していました。また、日本子業規格 (IS) が有るのに国際標準化機構 (IEC) に従うように求められるケースが有る。欧米諸国は自国に有利なようにルールを変えるが、日本は弱腰で独自性を主張しない、とも記しています。
 
11. K大のK.K教授は、企業風土の観点から論じています。上司との摩擦を避けて、難題を何とか解決しようとするが、無理を重ねると歪が表面化する。円高やバブル崩壊後の不況で経費削減を徹底した。無理な要求が増え、現場は上層部に迷惑が及ばぬように忖度する中で、自然発生的に不正が定着した、と断じています。
 
12. ここまで書いてきた29日にはT.R社のデーター改竄が報じられました。新聞記事によれば、"品質保証室長" が2代・8年にわたって行っていた、との事です。この記事を読んで首脳陣の無恥厚顔ぶりに呆れました。
いままでの各社の発表事例では、不詳事の関わった特定の役職者を明言していません。T.R社の態度は、まさに「トカゲの尻尾切り」では有りませんか。
 
この役職がどの程度のポストであるか、老生は知りませんが、まあ部長クラスでしょう、経営首脳からは3ランクぐらい下ではないでしょうか。そのクラスの社員が全くの独断でできる筈はありません。上層部の暗黙の了解を取り付けたか、逆に上からの示唆があった筈です。
同社はトップが経団連会長に推されるほどの名門企業ですが、今回の事件発表はお粗末の極みです。
 
13. このように、不詳事が頻発するのは、バブル経済崩壊後に厳しい経営環境が厳しくなった故と云われますが、それだけではないと、老生は愚考します。
そこで、次回には老生なりの迷論の展開を試みます。
 
                         < 下次号 >

2017年7月29日 (土)

No.178: 乱れたコトバの氾濫

"コトバの乱れ" は何時の時代でも存在したもので、それを指摘・論難する識者も絶えることは有りません。
しかしながら、近時の "コトバの乱れ" は特に甚だしいものがあるように老生には思われます。老生は、国語や言語については全くの門外漢ですが、気が付いた「迷言・珍語」の類を俎上に乗せた駄文を披露します。

1. 「いさぎ悪い」
ラジオのニュース解説で、某コメンテーターとやらが、稲田防衛大臣の辞任を論評して「いさぎ悪い」態度だと、云っていました。 これを聞いて仰天しました。論者はたぶん「潔い (いさぎよい):悪びれない・潔白である」というコトバの反対語の心算で言ったのでしょう。意図は判りますが、正しい日本語とは受け取り兼ねます。「いさぎ良くない」とでも云う方がまだ増しのように思います。

2. 「耳ざわりが良い」
これもラジオだったと記憶します。某識者が多用していました。意味するところは "聞いて気分が良くなる" "良い噂・評判" と云うほどのようです。だが、待った。 「耳ざわり」と云うコトバは「耳障り」であって、その語のみで、"聞いて不快になる" "悪い噂・評判" と云う意味が有るのです。
誤用した人は、「耳ざわり」を「耳触り」と勘違いしたのでしょうか。それならば、単に耳に入った話というわけで、"良い" "悪い" と云う判断を付加したのでしょう。
しかし、「耳障り」と云うコトバは、既にマイナスの意味を持ちますから「耳障りが良い」と云うのは論理矛盾で、誤用というべきです。

3. 「飛行機を運転する」
これもラシオで聞きました。某女性タレントとアナウンサーの対談で、タレント氏が乱発していました。自動車や鉄道車両などの陸上の乗物ならば "運転" ですが、三次元の空間を飛ぶ飛行機では、"操縦する" と云うのが妥当です。
水上の艦艇などでは、"操艦する" "操船する" と云います。メカを操作して乗物を意のままに動かす、と云う行為ですが陸・海・空での使い分けが有るのです。
因みにアナウンサー氏は、特に訂正もせずに相槌を打っていました。アンウンサー氏も明確には知らなかったのか、相手の立場を考慮して不問に付したのかは、判りませんが。

4. 「勝手なお世話」
テレビで某大物ジャーナリストがニュース解説的な番組で発言していました。意味する内容は "頼まれもしないのに、上から目線の口出しをする" というほどのようです。しかし、それならば「大きなお世話」と云うべきではないでしょうか?
この方は精力的に世界各地を駆け巡り、そこで収集した豊富な情報を判り易いコトバで解説・論評する事で有名ですし、教養の必要性を説く論客でも有ります。その氏にしても、このようなコトバを吐くとは驚きでした。まことに正しいコトバ遣いは難しいものです。

6. 「撮影を撮る」
ラジオで、各国の美術館・博物館が見学者の写真撮影にどのように対応しているか、という対話で某氏が発言していました。話の要旨は、海外の美術館・博物館では観衆の写真撮影を禁止していない処が多い (特別な展示品だけを禁止している例は在るが)。
ところが、日本の美術館・博物館は全面禁止の処が多い。これは一考の余地があるのではないか? という事でした。
ところが、この際に「撮影する」あるいは「写真を撮る」と云うべきを「撮影を撮る」と発言していました。何かの錯覚かとも思われますが、何とも奇異に感じました。
さらに云うならば、聞き手のアナウンサー氏は鸚鵡返しに同じコトバを発していました。

7. 「めっちゃ痛んだら・・・・・」
某新聞の投書で見つけました。投書者が何かの疾患で医師の診察を受けた時に、若い医師に云われて、信頼感を失ったとの文面でした。
「めっちゃ・・・・」というコトバは、お笑い芸人の類がテレビのヴァラィティ番組などで乱発していましたが、今や知識階層とされる人々にも蔓延しているようです。
「めちゃ」を辞書で見ると "目茶" あるいは "滅茶" の漢字を当て、意味としては "道理に外れていること" "秩序が乱れていること" "程度の甚だしいこと" と有ります。 また「めちゃ・くちゃ "目茶・苦茶"」を同意語として記載している辞書も有ります。
このコトバはネガティヴの程度が甚だしい、という語感でしょう。
ところが、テレビで云われ場合には「めっちゃ美味い」「めっちゃ綺麗」と云うポジティヴな使われ方が多いようです。
お笑い番組で広めた人は、単なる語感から乱発し、それをコメンテーター氏らが無批判に受け入れたのでしょうか?

8. 「自腹をはたく」
これもラジオで聞きました。正しくは、「自腹を切る」と云うべきですが、既存の「有り金をはたく」というコトバに引きづられて妙な合成をしてしまったのでしょう。

9. "豪華列車トワイライト" を「電車」と云うレポーター
トワイライトの紹介番組で、レポーター氏は「この電車は・・・・」というコトバを乱発していました。途中でアナウンサー氏が "デイーゼルカーです" と云いましたが、レポーター氏は「じゃー列車かぁー」と受けましたが、その後も「電車」というコトバを繰り返していました。
トワイライトはパンタグラフが有りませんし、線路の上空に架線は張られていません。要するに一見すれば素人でも電気を動力とした電車でないのは判る筈です。
このレポーター氏は習慣的に鉄道車両をすべて「電車」というコトバで済ませているのでしょう。子供でも知っている知識に無関心なのでしょうか?

10. 「撃沈」
このコトバは軍事用語です。海戦において敵艦を砲撃・雷撃・爆撃などの攻撃で沈没させた時に "撃沈した" と云います。 また、味方の艦艇が敵の攻撃により沈没に至ったた時には、"撃沈された" と表現します。つまり、このコトバは状況に応じて能動態と受動態の使い分けを要します。
ところが近時、失敗・窮地・醜態に類する状況を表すのに、このコトバを使うケースを散見します。
例えば "昨日は飲み過ぎて「撃沈」した" などと云う人がいます。要するに酔い潰れて前後不覚に陥ったということでしょう。
テレビのクイズ番組で回答者が正解を答えられなかった時に "難問に敢え無く撃沈" などと司会者が云うケースも有ります。
どちらの例も、雰囲気は伝わりますが、老生は違和感を持ちます。
また生死に関るコトバを気安く転用するのは如何なものてしょうか。
類似のコトバで「撃墜」と云うのも有ります、これは空戦のケースです。能動態・受動態も同様ですし、失敗・窮地・醜態などの状況を表すにも同様に使われます。

11. 「面接官」、民間企業でも "官" か?
就職シーズンになると、テレビ・新聞・雑誌などに「面接官」なるコトバが飛び交います。このコトバで引っ掛るのは "官" という文字です。これは、公務員に使うコトバの筈です。それですから、官公庁で採用面接に当たる人を「面接官」と呼称するのは妥当でも、民間企業で採用面接を行う人を「面接官」と云うのは、明らかな誤用です。
このコトバが何時頃から氾濫したのでしょうか? 老生の記憶では、"就(職)活(動)" なるコトバが生まれた就職氷河期の頃だったと思われます。いわゆる "就活本"が溢れ、新聞・雑誌が特集を組むようになった時期です。
何処かで誰かが、誤用したりでしょう。それが今ではすっかり定着した感じです。"知性や教養は語彙に現れる" などと語彙の重要性を説く識者も、平然と使っています。

12. 「教官」、これも民間機関でも使われています。
一頃よりは低調になりましたが、未だかなり横行しています。このコトバは1950年代から起こったマイカー・ブームにおいて自動車教習所が乱立した時期がキッカケだったと思います。"運転指導員" は「教官」と呼ばれ、構内アナウンスで「OO教官はXX号車へ・・・・」などと案内していました。
次いで1970年代の海外パック旅行が盛んになった頃に、テレビ・ドラマでスチュワデス根性物語がヒットしましたが、その中に養成機関で "鬼の教官" にしごかれて、一人前に育ったという場面が少なからず有りました。
「教官」は教育にかかわる公務員、と辞書にも出ていますから、明らかに誤用ですが、問題視した有識者は現れなかったようです。
さらに驚くのは、私大の教員が職員や学生に対し、自らを「教官」と呼ばせる事例が有りました。これは国立大を定年になってから私立大に移籍した方に多かったようです。多分、長年の慣習を持ち込んだのでしょう。
ジャーナリスト諸氏も、私大の学生が不祥事を起した際に "指導教官は何をしていたのか" などと論難していた例がありました。
その上
、遂に私大生え抜きの教員が、「教官」を自称するするケースさえ散見するに至りました。

13. 「爆弾」と「砲弾」の区別を知らぬジャーナリスト
8月15日が巡って来るたびに、大戦の実情・秘話・悲話が語られます。某日のテレビでマリアナ海空戦で日本海空軍が米軍の "近接信管"により大打撃を受けた話が有りました。"近接信管"とは、目標物からの電波反射を利用して、直接に命中しなくても、一定距離に近付いたら作動する信管の事です。
この説明をした某大物ジャーナリストは、日本機の近くで近接信管を装備した "爆弾" が炸裂して日本機を撃墜した、と云いました。
これは明らかな誤りです、対空火器が発射するのは「砲弾」 です。「爆弾」とは、航空機が投下するモノです。
戦後も70年を経ると、著名な識者でも軍事用語については不確かな言説をする人が少なくないようです。

{たまの玄太の蛇足}
このくらいで、老生の "やぶにらみ的論評" は一応終りにします。繰り返しますが、老生は国語や
コトバ遣いについては門外漢です。その老生でも毎日のように ??? と感じるコトバに接します。その大半はテレビの娯楽番組的なヴァライティ番組です。
世に識者として遇せられている方でも、このような番組では気が緩むのか、怪しげな発言を散見するのは残念な事です。

               <以上>

2017年7月25日 (火)

No.177: 多摩川いかだレースを見て来ました (2)

(4) 下図は若い和装の少女が乗っているイカダです。"水と緑の町・丹沢" の文字が読取れます。華やかな雰囲気が人目を惹き付けていました。

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(5) 下図は"魚の骨"をモチーフにした奇抜なイカダです。もっとも人気が高かったように感じました。

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(6) 下図のイカダの舳先に立つのは"狸"でしょうか? 地域の何かをシンボライズしているのでしょう。

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(7)  下図のイカダも人目を惹いたようです。一寸見た感じでは源平・屋島の合戦における"扇の的" をモチーフにしたのかと思ったのですが、東南アジアに見受ける王宮・寺院を模したような図が描かれているので、ハテ何だろう? というところです。旗には"狛江市シルバー人材センター" との文字も在ります。

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(8) 下図は "桃太郎" をイメージしたイカダです。 これは明快に判ります。

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* あとがき

炎天下にも関わらず、多数の観客が熱心に声援していました。
ローカルな行事としては出色の出来だと思われます。
一つ、注文を付けると、次々と走航して来るイカダについての情報が殆んど無かったのは物足りなく感じました。然るべき掲示とかアナウンスが適時・適切に行われたならば、なお関心が高まったのではないでしょうか? (広い河原に観客が散在していますから、かなり難しいとは思いますが)

                         <以上>

2017年7月19日 (水)

No.176:多摩川いかだレースを見て来ました (1)

Photo 7月16日に、「狛江古代カッブ・いかだレース」が開催されました。猛暑の続く日々でしたが、敢えて出掛けました。
会場の最寄り駅は小田急線・和泉多摩川駅で、同線の鉄橋を挟む上流から下流への1.3 km の区間で行われました。

今回のレースは27回との事ですから、かなり以前から実施されていたようです。
多摩川の左岸(東京側)河原には多数の観衆が詰めかけ、30度を越す炎天下で声援を送り、撮影をしていました。

レースはタイムを競う部門とデザインを競う部門が有りましたが、老生の感じでは、アイディアを凝らしたデザインに人気が集まったようです。

その中から、幾つかを紹介します。

(1) 下図は 富士山の噴火を模した"いかだ"でしょう。漕ぎ手は一人だけのようです。

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(2) 下図は、漕ぎ手がビール・ジョッキ型の帽子を被り、看板には生ビールの文字と "下北沢走らう会" の記載が見られました。このイカダの漕ぎ手は数人のようです。

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(3) 下図はトランプのカードをテーマにしています。ジヨーカーの顔に米トランプ大統領を模しているもが "売り"と見受けられます。なお、"多摩川流域交流連携協定"の文字が記されています。

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               <以下次号>

2017年6月21日 (水)

No,175: 空自・府中基地フェスタを見学しました (2)

1s上図は入り口で貰ったパンレットです。これに依ると、オープニング・セレモニーとして 展示飛行が記載されています。 この基地は飛行場が有りませんから、他の基地から飛来して行われるものと思われます。
老生は、この時刻より遅く入門したので、このデモ飛行は見られませんでした。

パンフレットの写真から判断すると、"T-4 中等練習機" "U-4 多用途支援機" "OH-6D 観測ヘリコプター" と見られます。

501_t4 左図は "T-4 中等練習機" です。プロペラ機による初等訓練を終えたパイロットが次の課程として学ぶ亜音速のジェット機です。この機の全長は13.02m, 翼幅は9.94m で、最大速度は 560kt, 上昇限度は 15240m, 航続距離は1300km, と発表されています。
この機は純国産であり、また各地の航空ショーで華麗な曲技を展開して観衆を魅了する 「ブルーインパルス」 の機体でもあります。

502_u4_ 左図は "U-4 多用途支援機" です。乗員は2名ですが、19人を輸送できます。用途として、指揮連絡・人員物資の輸送・訓練支援など多方面にわたります。機体の全長は 27.00m, 翼幅は24.00m, 自重は 18100kg というデーターです。
巡航速度は 0.8 マッハ, 航続距離は 6575km と高性能です。この機体は最新の計器表示システム・航法装置を備えています。原設計は米国ガルフストリーム社ですが、航空自衛隊の仕様に改装されています。
2008年の北京五輪には、当時の福田総理の乗機の大任を果たしました。

503_ch6d 左図は "OH-6D 観測用ヘリコプター" です。 4人乗りの小型ヘリコプターで、機動性が高く、観測や索敵に賞用されています。
最大速度は 103kt 以上、航続時間は3時間以上、搭載量は 180kg 以上とされています。本機は独特の卵形形状をしているので、"Flying Egg" の愛称呼ばれています。
メイン・ローターの径は 8.02m, 機体全長は 9.24m, 最大離陸重量は 955kg,  と要求値を下回る成功を示しました。これにより、実戦配備時に、低い被発見率・低被弾性を実現しました。
米ヒューズ社が開発した当初は非武装の設計でしたが、 採用した海外諸国では、対戦車ミサイルやロケット弾を装備して攻撃ヘリコプターにした例もあるようです。これは、現設計の拡張可能性を示していると見られます。

会場の空自・府中基地は、飛行場を持たず、敷地は広く有りませんが、実は全国の空自を統括する「頭脳」とも云うべき部署が幾つか有るようです。配布資料には、特徴のあるマークとともに説明が有ります。

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その一部を上に転記しました。 その説明は資料に詳記されています。老生の眼を引いたのは、"航空開発実験集団司令部" "電子開発実験群" の二つでした。 現代の航空兵器が電子技術に依って支えられている事は周知です。 このように重要な組織が、この地に置かれている事を改めて認識しました。

                <以上>

2017年6月13日 (火)

No.174: 空自・府中基地フェスタを見学しました (1)

001_s_3 去る6月3日に東京都府中市の航空自衛隊・府中基地のオープン・フェスタが開催されました。
この基地は飛行場が無いので、空自の新鋭機の展示や、ブルーインパルスの華麗な曲技飛行を期待できませんが、地上装備などは見られるであろうと思い、見学に出掛けました。

入り口で渡されたパンフレットによると、地上展示品としては、"高射部隊器材" "移動気象機材" "軽装甲機動車" "災害派遣用器材" "消防・ハシゴ車" と記されていました。
また、催し物としては、"オープニング・セレモニー (展示飛行)" "音楽隊演奏" "修武太鼓演奏" などが有りました。

101_808s 左図は、展示されていた地対空の迎撃ミサイル "PAC-3" です。某国から飛来するであろう弾道ミサイルを撃ち落す、と期待されています。
ネット情報などに依れば、このミサイルの全長は5.2m, 重量は315kg, 射程20kmと云う事です。海上に配置したイージス艦の迎撃ミサイル "SM-3" が初弾を放ちますが、それで打ち漏らした時には、地上配備した "PAC-3" が対応して仕留める作戦だそうです。

総合的な命中率は 83% との情報があるようです。

この基地には、航空気象群本部が置かれています。この組織は、全国の航空自衛隊飛行場に所在する気象隊・気象班を指揮します。気象予報・観測および情報の収集と伝達などの業務を行っています。
また、中枢気象隊が在り、自衛隊独自の統合気象システムを持ち、移動気象レーダー等を用いて、全国の部隊に気象情報を配信しているそうです。他の関係機関とも連絡を採り、その規模は全地球をカバーします。

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左図は携帯気象観測装置、中図は移動気象レーダー装置、右図はそれらを統合したシテム系統図です。このシステムは随時・随所に開設して局地的な気象データを収集して、航空機の活動を支援します。
気象観測装置は、風向・気圧・雲量・温度・湿度・雲底高度などの基本的データーを集めます。気象レーダーは雲中の雨粒を観測し、その動きに依りダウンバーストなど予測します。

301_823s左図は "82式指揮通信車" です。乗員8名、最高速度は100km に達します。機関銃を搭載し、車体は装甲されています。
この車両の特徴は、装輪式(車輪)を採用している事です。この種の車両は装軌式(無権軌道) が多いのですが、敢えて車輪に依ったのは機動性を求めたのと、悪路走破の自信が得られたからであろうと、老生は忖度しました。

下図は、今回のオープン・フェスタの会場配置図です。
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                <以下次号>

2017年6月 4日 (日)

No.173: "森友・加計 事件"により 「虚構大学」 を再読しました

Photo"森友学園"に端を発した政官学の癒着疑惑は"加計学園"に至って炎上した感が有ります。
この件について、老生は嘗て読んだ清水一行氏の著した小説「虚構大学」を思い出しました。
この小説は1979年に上梓されましたから、もう40年近く経ちます。読んだ当時は、フィクションながら、こんな世界もあるのかな、と感じた程度でした。

今回の政争にまで広がった事件に際して改めて再読し、その内容が今日の話題に酷似しているのではないかと感じ驚きました。
老生なりに、その内容を要約し、合わせて私見も交えました。

1. 既存の大学の多くが左傾教授に牛耳られている実態を憂慮したF氏は、健全な大学を創立しようと志し、高校つくりに実績のあったS氏に協力を求め、二人三脚の体制でスタートしました。
2. 大学の設置をするには許認可権を持つ文部省(現文部科学省)に申請し、その審査に合格する必要が有ります。文部省には設置基準が有り、教職員・校舎と設備・運営資金などについて厳しく審査されます。
3. それですから申請時点に、基準の定める規模(ヒト・モノ)と確実な運営見通し(カネ)が必要とされます。
これは高いハードルです。一般の民間企業の場合には、個人企業・零細企業から出発し、多くの経営の山谷を経て成長して行くことが可能ですが、教育機関の場合は、出発時点で中堅企業にも匹敵する投資(人材・設備など)を必要とし、確固とした経営見通しが求められます。
4. 理想の学園を創設しようとする人々も、現実には理想・理念を暫く脇に置いて、土地の手配・資金集めなどに狂奔せざるを得ません。そのためには関係方面に働きかけ、時には際どい交渉・取引も避けられません。
5. 小説の展開では、林野庁の首脳に働きかけて国有地の払い下げを受けたり、資金については、見せ金を駆使して銀行の融資担当を篭絡するシーンなどが有ります。
6. とにもかくにも計画が緒に就き、その情報が拡散するにつれて、いわゆる文教族議員が介入し、自らの政治力を誇示しようとします。 また、 教職関係者も、新設大学に然るべき地位を得ようとして、自薦・他薦の売り込みを謀ります。さらに建設業者は校舎・設備の受注を狙い、図書・教材の販売業者も大量の商機を期待します。
7. 大学の新設を利権ゃ利益を獲得する好機と捉えた人々が蜜にたかる蟻のように雲集し、至るところで競合・摩擦を生じます。これは、創立計画者の理想や意図を超えた事態でした。小説では、計画者は途中で去り、実務推進者は見通しを得た段階で辞任しています。

{たまの玄太の蛇足}
大略の荒筋を纏めた心算ですが、老生の誤解や見落しも多々在ると思われます。
しかしながら老生が痛感したのは、教育事業を立ち上げるには膨大な初期投資 (ヒト・カネ・モノ) が必要である、という事です。これが利権・利益に関る人々が多発する一因ではないでしょうか?

対照的に明治期に創設され、その後に大を成した名門私大の多くは創立者の私塾か、それに近い簡素な規模・体制でした。
それが次第に実績を積み、正規の大学に昇格していったのです。旧帝国大学が国家の意思で欧米大学をモデルとして、始めから相応に整備された体制から出発したのとは大差が有りました。

こんな考察をしてみると、民間有志の抱く高い理想も、実現のプロセスに於いて利益追求を基幹とする資本主義の持つ悪弊に影響を受けざるを得ないように感じます。

欧米の名門大学には、大富豪の寄付や王侯貴族の後援を得て、豊富な資金により設立された事例が多いと聞きます。このようなケースであれば、「虚構大学」に描かれたようなダーティな場面は起こらないかもしれません。
日本でも、明治期に実業家の竹内明太郎が、W大理工学部の設立に多大の貢献をし、昭和期にも実業家の藤原銀次郎氏が藤原工大を創立し後にK大理工学部に移管した事例が有ります。

しかしながら、このような事例は「旧き良き時代」においてのみ、成し得たのかも知れません。
最近の学園設立騒動に触れて、思いつくままに記しました。

                 <以上>

2017年5月20日 (土)

No.172:JAXA 調布航空宇宙センター公開を見学 (3)

"日の丸 超音速旅客機" の夢を追う

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72_s JAXA公開展示の一隅に、思いがけないモノが在りました。それは超音速旅客機の構想と模型です。
現在、全世界には運行している超音速旅客機は在りません。 20世紀末に英仏連合が超音速の "コンコルド機" を就航させた時期が有りましたが、運行コスト高と騒音問題に直面し、さらに大事故により失われてしまいました。 ほぼ同時期に旧ソ連邦も計画・試行は行いましたが実用に至りませんでした。

JAXAがそのような難題に取り組んでいた事を、今回の公開で知り、頼もしく嬉しく感じました。もっとも、JAXAとしては実用機材の開発を目指すよりは、超音速旅客機の開発に必要な基礎研究とデータ収集に注力していると推察されます。
説明資料によれば、同機の全長は 53m, 全幅は 23.3m, 重量は 70t, 巡航速度は 1.6mac, 乗客数は35~50人、となっています。嘗てのコンコルド機に比すれば、一回り小型と云えます。

しかしながら、この機には "ソニック・ブーム (超音速衝撃波爆音)"を低減する秘策が込められています。 スパコンによる解析に基づき、機体先端部および後端部の形状を工夫して低音化を実現したのです。その効果は既に「超音速試験機 (展示室に実機展示)」で実証されています。
これらの成果を採り入れた "日の丸 超音速旅客機" が世界の空に雄飛する日を期待したいと感じました。

"無人飛行機 (大氣データ収集用) "

76_s 左図は大氣データ収集などに使う無人飛行機です。いわゆるドローンに比して大形の固定翼機です。回転翼型のドローンに比して高速で長距離飛行が可能との事です。フロペラは中央胴体の後部に装着した推進式です。
一般的なプロペラが胴体前部にある牽引式だと、不時着などに際して地上の人や器物への被害が大きくなりがちなので、それを避けるための配慮だそうです。

"着陸実験機 FTB"

69_ftb_s 左図は "着陸実験機 FTB " の図解です。現物も展示されていました。
本機は月面探査に際して必要な軟着陸技術の確立を目的に試作され、多くのデータを得、且つ有用性を実証したそうです。
展示品は実物と思われ、その高さは人の身長ぐらいでした。

" ペーパー・クラフトのお土産"

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上左図は "JAXA" のロゴ入りの紙飛行機「イカ」です。上右図は地球儀です。どちらも、A4版の中厚紙に印刷されている図を切り抜いて組み立てます。飛行機は折り紙の感覚で容易に出来ましたが、地球儀はかなり苦心しました。糊付けの工程が終りに近付くと次第に難しくなります、始めのうちはクリップなどで接着箇所を固定出来ますが、最終に近付くと、それが不可能になるので、接着面が乾くまで指先の微妙な操作を要しました。

<ブロガーの一言>
老生は1929年生まれ、小中学生の頃は飛行機マニアで軍用機の設計者を夢見ていました。 1945年の敗戦で、その夢は絶たれ、電子通信の開発者に転進して、先端技術の開発に関りました。
米寿に近い今日、もはや航空も電子技術も
縁遠くなりましたが、このようなイベントがあると、往年の血が騒ぎます。今回の公開を見学して先端技術の一端に触れて、活力を得た気がしました。

                 <以上>

2017年5月16日 (火)

No.171:JAXA 調布航空宇宙センター公開を見学 (2)

57_mu_pal_s 左図は「多目的実証実験機 "MuPAL-α"」の模型です。ドルニエ社Do-228型を母機として開発されたフライト・シミュレータで、先進航空技術に関る実証研究を目的とします。可変安定応答機能・高精度計測システム・先進航法システム・セカンド コックピットなどを装備します。
この機は前記の"ク ィーン・エア"の後継機として計画・運用しました。なお、この実機は調布飛行場に隣接した第二会場に展示されていました。

55_s 左図は「実験用航空機 "飛翔"」の模型です。セスナ社680型機を母機として、将来に予想される種々の飛行実証を行うための設備を搭載しています。速度・高度・飛行姿勢・機体位置・舵面やエンジンのの作動状態を高精度で計測するセンサーとデータ収集装置などです。さらに、下方を撮影するカメラ窓、計測ポッドを装着する懸架装置なども備えます。

61_bk117c2_s_2 左図は「実験用ヘリコプター "BK117C-2" 型」の模型です。川崎重工社の製品で、ヘリの安全性・環境適合性の向上に関る様々なデータの計測・記録を行います。
日本は国土が狭く山地が多いので、ヘリコプターの活用は諸外国に比して盛んだと云われています。それだけに、多方面にわたる詳細なデータの収集が必要とされ、そのために活躍しています。

JAXA調布航空宇宙センターには、特異な設備が幾つか在るそうです。その幾つかを記載します。

下左図は「低音速風洞」、下右図は「遷音速風洞」の図解です。
前者のは2mX2mの大きさの測定部を備える連続循環式低速風洞で、最大風速は 67m/s に達します。航空機の離着陸時や低速飛行時の空力特性データや、低速域における各種現象の研究に用います。また、飛行中の突風を模擬できる装置も装備しています。

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後者は0.6mX0.6m の大きさの測定部を持つ噴出式風洞で、マッハ数が0.6から1.2の範囲の試験ができます。この風洞では遷音速域で巡航する航空機の空力特性とフラッタ特性を観測します。説明書に依れば世界唯一との事です。

850_fs_ss 左図はフライト・シミュレータの説明書表紙の一部です。これは現実の操縦機の操縦と等値な感覚を操縦士に与える装置で、実機の操縦に比して高い安全性と少ないコストで、訓練・実験・評価を行えます。
本シュレータは、高い柔軟性を持ち、3種のコックピット・システムと固定翼機・回転翼機の機体モデルを組み合わせ、目的に応じた実験環境を構築できます。


800_jaxa_5図はJAXAの誇るスーパー・コンピュータです。設計計算に、試験結果解析に、資料の分析に、各種のシミュレーションに成果を得ました。

         <以下次号>

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