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2011年5月 3日 (火)

No.01:辞書にないコトバとその乱用について

新聞・雑誌などで広く使われているにも関わらず、辞書を検索

も出ていないコトバは、かなり有るようです。一般に辞書

に載るコトバは社会に定着したと見られるであって、流行語や

若者コトバは辞書に記載されることなく、数年も経れば忘却・

埋没してしまうのが実態です。ところが社会で広く使われてい

て定着しているように見えても、尚且つ辞書には記載されてい

いコトバが幾つか有るのに気がつきました

                                                                                                          

例えば「面接官」というコトバが有ります。未曾有の就職難に

関して多くの書物や論評・解説が発表されていますが、その種

の記事に「面接官」というコトバが頻繁に出て来ます。ところ

が手元にある数冊の国語辞書を調べましたが記載は有りませ

ん。辞書には「面接」も「官」も出ていますがこれを繋げたコ

トバは出ていません。

                                                                                 

ところがインターネットなどで「面接官」を検索すると、出る

わ出るわ、たちまち数十件に達します。ただし「面接官」その

ものの定義や説明ではなく、自明の用語としての記述が大半で

す。すなわち"面接官に好印象を与え態度はどうあるべきか",

"面接官の期待する人物像は?",などの類であって「面接官」

はキーワードとして既に認められている実態が有ります。

                                                                                          

私が引っ掛るのは「面接官」の「官」です。これは国家組織ま

たは其処で働く公務員を意味する筈です、定評のある国語辞書

にはそのように記載されています。それてすから公務員試験に

関しては「面接官」というコトバは辞書に出ていなくても、正

当性は有ります。ところが、新聞・雑誌などの記事では民間企

業の採用試験でも「面接官」と記しているのです。これは明ら

かに誤りと云うべきでしょう。

                                                                                           

驚くべき事に、就職活動のノウハウを謳った出版物の99.9% ま

でが「面接官」というコトバを平気で使っています。中には

"コトバ使は正しく"などと書いている著者が無神経にも使っ

ています。

                                                                                                

ある時に某大新聞の人事部次長という方が、就職活動の特集記

事の中で「面接官」と書いていたので、メールでその誤りを指

摘した事が有ります。その新聞社からも次長氏からも返事は有

りませんでしたが、その後の数回の記事は「面接者」となって

いました。意のあるところを了承して呉れたのかと思っていた

ら、何時の間にか元の木阿弥に戻ってしまいました。

                                                                                                

こんな例から見ても今や「面接官」というコトバの誤用は定着

してしまったようです。念の為に付言しますと、辞書に無いコ

トバを使うな、と云っているのでは有りません、辞書に無いコ

トバを使う際には充分な検討・吟味を要する、と云いたいので

す。

                                            

ところで法曹界では、「裁判官」と「裁判員」は明確に使い分

けられています。「裁判官」は辞書に有り、「裁判員」は未だ

辞書には載っていないようですが、これは新しい制度だからで

しょう、新語辞典の類には既に採り上げられています。これは

用語などには神経を使う法曹界ですから当然の事でしょうが、

その姿勢は見習うべきだと思います。

                                            

従って就職試験などに関しては「面接官」と「面接員」を使い

分けるべきだと私は愚考します。

                                            

序でに憎まれ口を叩くと、「正しい日本語を」とか「活字文化

の振興を」などと力説される諸センセイ方は、前述のような事

実に気が付かないのか、取るに足らぬと無視しているのか、こ

の誤用を指摘した方は寡聞にして知りません。

                                            

多方面に活躍し「知の巨人」と称せられる著名な評論家の著書

で,自分の個人秘書を採用するのに際し,「多忙だったので友人

に面接官の代行を依頼した・・・」という文章を見かけてガッ

カリした事が有ります。また、それほどに世間に流布して定着

してしまったのかと感じました。

                                            

序でに書くと就職活動ノウハウ本で「試験官」「検査官」

「採点官」などというコトバも散見します。この中で「試験

官」「検査官」を記載してある辞書は有りますが、これを公務

員試験で使うのは妥当てすが民間業で使うのは誤用です。また

「採点官」となると辞書に記載は有りませんが、同様な事が云

ます。

                                            

タイトルに示した「辞書に無いコトバ」は、これだけでは有りません。

今回は「面接官」を中心に、その誤用に言及しましたが、この種の

幾らもあると思われ、随時タネにする予定です。

                                   以上。

                                            

                                           

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