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2013年4月14日 (日)

No.80:航空機と郵便切手 (6)

「世界長距離飛行記録を達成した航研機」

1938年5月13~15日にわたり飛行した東京帝大航空研究所が開発した航空機「航研機」が、10651.011km を無着陸で飛び、世界記録を更新しました。

1938_koukenki_2 1938_kokenki_2_3

この機体は、東京帝国大学(現・東京大学)航空研究所が、1932年に計画し1937年に完成させました。

その頃、世界の航空界は速度や航続距離などの記録樹立を競い合っていました。日本は未だ航空の世界では後進国で、世界記録などは夢物語でした。その壁を破ろうとしたプロジエクトの一つが、長距離飛行の記録を意図して開発した航研機だったのです。

1933年に基礎設計に着手、1934年には東京瓦斯電気工業㈱が具体化の設計を担当し、1937年には初飛行に成功しました。初期の頃には引込脚のトラブルに苦労したそうです、当時は固定脚が普通で引込脚は先端技術だったのです。

Aviation_100_kokenki_3 記録つくりのためのコースは木更津・銚子・太田・平塚の4地点の周回でした、距離は1周で401.759km でした。この地点を選んだ理由は判りませんが、機上から識別し易い目標物が在ったのでしょう。また、万一不時着するような事態になった時に、着陸地が近くに得られるという考慮もされたと思われます。

実際にも、飛行中に不具合が発生して取り止めた事も有ったようです。3回目の挑戦で29周を回り切り、世界記録を樹立しました。飛行距離は 10651.011km , 平均速度は  186.19km/h, 飛行時間は  62h22m49s という記録でした。

着陸した時に未だ燃料は残っていて、もう1周出来た筈だ、と云う話も残っています。しかし、日没も迫って来たし、記録は更新したという事で安全な方を選んだとも云われています。
この飛行では無線機は積まなかったそうです。当時の無線機は大型で重く取り扱いも難しかったので敬遠したのです。それですから、地上との連絡は機上からは通信文の投下、地上からは旗や幟で示すという原始的な手法に拠ったのです。

この飛行の成功により、"国際航空連盟の公式認定記録" を獲得しました。これは日本航空史では唯一の国際公認記録です。

この壮挙を記念して、記念切手が発行されました。航空機をテーマにした最初の例でした、上左図がそれです、拾貮錢 (12銭) という価格が往時を偲ばせます。上右図は、富士山を背景にした飛翔中の雄姿です。また、下図は航空100年の記念切手シリーズの中の1枚です、これは近作ですから80円と記されています。

とにかく、航研機の壮挙は、日本の航空界が急速にキャッチ・アップした時代の象徴的な大イベントでした。

「ニッポン号の世界一周飛行」

1939年8月25日に東京・羽田を出発した毎日新聞社の "ニッポン号" は、太平洋を越え、米大陸を横断し、南米の各地を歴訪、大西洋を越えて欧州に至り、南方コースを経て10月20日に羽田に帰着しました。

1939_nippon1 19379

全行程は 52,860km飛行時間は194時間、所要日数は56日、でした。この飛行は親善と国威発揚を目的とした企画で、特に距離や時間の記録を狙った飛行ではなかったようです。

しかしながら、幾多の先端技術が盛り込まれていましたから、世界の航空関係者からは大いに注目されました。
機体は三菱製の双発輸送機ですが、原型は海軍の96式陸上攻撃機でした。戦闘機に近い速度と4発機なみの航続力を持つ傑作機でした。

前々年の "神風" と比べると双発で6人搭乗でから、全てに余裕も有りましたし、技術も進歩していました。この機体では降着装置が完全な引込脚になりました、可変ピッチ・プロペラや沈頭鋲も導入されました。さらに強力な無線機を持っただけでなく、自動方向探知機や自動操縦装置などのハイテク装置も備えていました。

従来の記録飛行は、その目的のために必要最小限の機器しか持たず、時に無線機すら省くのが通例でした。生死を賭けた冒険を敢行したのです。ところが、ニッポン号の世界一周は充分な装備をして実施したのです。目的が世界各国との親善であり、記録つくりを意図したわけでは有りません。

とは云っても長大な未知の空路を翔破するのは、充分な機材を以ってしても、やはり冒険で有る事には変わりません。この飛行は計画では欧州各地を歴訪する予定でしたが、第二次世界大戦が勃発したので、ローマ訪問のみで、ロンドン・ベルリンはカットしました。
それにしても、5万km を超える飛行をトラブルなく完遂したは、乗組員の技量と高度の技術による成果と賞賛されます。
                             <以下次号>

                            

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