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2014年3月14日 (金)

No.107:東芝未来科学館の見学 (3)

東芝は白熱電球に次いで蛍光ランプを開発しました。市販したのは1941年ですが、それに先立ち、法隆寺の壁画の修復の際に用いられました。また、大戦時には海軍の艦艇に装備されました、特に潜水艦などは限られた発電能力を有功に使うために、消費電力の少ない蛍光ランプは賞用されました。

Tac_2 戦後には戦災を受けた工場の再建 が喫緊の課題でしたが、その中でも次世代を見据えた技術開発は続けられました。

その一つのビッグ・プロジェクトは高速コンピュータの開発です。東大と協力して米国のEDVACを参考にして、ソフトを東大・ハードを東芝という体制で着手しました。1950年頃の事でした。
その作業は難航したようです。当時の一般的なラジオ用真空管の信頼度は電算機用としての要求に比して桁違いに低いのが実情でしたから、その改善が必要でした。
他のネックは調整・測定用の高性能オシロスコープが得られ難かった事です。
その他にも、全くの未経験の分野でしたから、乏しい海外の資料をタネに手探りで試行錯誤を続けたと云われます。開発に着手してから8年を経た1951年に完成し、科学技術に関る計算・解析に活躍しました。
図は東芝未来科学館に展示されているTACコンピュータの記憶装置です。実際の装置は、このようなラックが32台も並ぶ偉観を呈しました。
同コンピュータは、真空管7000本、ブラウン管メモリ13本、ダイオード3000本で構成しました。その性能は海外の名機と同等以上を示しました。

Photo
1959年にはビデオ・テープ・レコーダの基幹技術であるヘリカル・スキャン方式が澤崎憲一博士により考案されました。

Photo_4 この技法は、後にベータ方式・VHS方式のビデオ・テープ・レコーダに採り入れられて、全世界に広まりました。図に示すのは放送局用の機材と澤崎博士です。
東芝は、その後も映像(録画)技術についても常に先導的立場に在ります。

1978年には日本語ワード・プロセッサという画期的な製品が登場し、事務作業の様式を一変しました。これは従来は、不可能視されていた日本の漢字・仮名交じりの文書の機械的処理を可能にした大発明でした。
欧米ではアルファベット26文字で文章を構成出来るので、英文タイプライターが開発されて事務能率の向上が行われていました。しかしながら、日本語は数千もの漢字と50音の仮名を交えた文章を常用しますから、機械的な処理は困難とされていました。和文タイプライターなる製品も有りましたが、活字(漢字)を一字づつ捜すために手書きよりも時間を要し、仕上がりは綺麗でも効率という点からは不満足極まりないモノでした。 

87Photo_2 日本語の文書処理を英文タイプライターなみに出来ないか?という要望は旧くからありましたが、ディジタル技術が発達するまでは全く不可能視されていました。

森健一博士は既に郵便番号自動読取機の開発で実績を得た方でしたが、一歩進めて日本語ワードプロセッサの開発に着手し、成功を収めました。
問題は何千と有る漢字をどのようにして入力するか、日本語の独特の構文をどう処理するか?という事でした。

漢字については「かなー漢字変換」という手法を編み出し、ワードプロセッサのための独自の文法も構築しました。最初の製品は図示のように事務机ほどの大きさで、価格も数百万円もしました。しかも、その性能・機能は今日のノートパソコンよりも遥かに下回っていたのです。
それでも、当時は画期的な事でした。産業界の長年の懸案であった事務の機械化が一挙に進む端緒になりました。女性にはワープロ・インストラクターと云う新しい職業を齎しました。
一度、日本語による情報処理の突破口が開かれてからの進展は著しく、開発当初より10年も経れば性能・機能は飛躍し、価格は桁違いに低下しました。

さらに日本における成功は、非アルファベットの国々にも自国語の情報化可能性を示唆する事にもなりました。 

以上、老生が関心を持つ分野について恣意的に記しましたが、これは展示品の一部に過ぎません。東芝は家電機器の老舗ですから、その展示品も多く、熱心に見学する家庭婦人らしいグループを見かけました。また、未来志向のスマート・グリッドやスマート・シティについてのジオラマには若い学生らの関心を集めているようでした。高度な先端技術としては、先頃話題になったヒッグス粒子の発見に関る実験設備の開発などの説明パネルも有りました。

東芝は淵源から技術開発を志向した企業で有り、戦前から立派な研究所を持ち、幾多の成果を挙げて来ました。その一端をリニューアルされた科学館で知り得るのは、素晴しいことだと感じます。               
                               <以上>

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