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2015年2月18日 (水)

No.123:今は昔、敵性語についての回想

NHKの朝ドラ「マッサン」2月16日の放送を見ていましたら、敵性語(英語など)の使用を避けて、無理に日本語化する1940年代の風潮を示すワンシーンが有りました。
例えば「カレーライス」を「辛味入り汁かけ飯」、「コロッケ」を「油揚げ肉饅頭」と云う類です。その後の放送でも「キャラメル」を「軍粮精(グンロウセイ)」と云うシーンが有りました。
老生は当時、旧制中学生でしたから、このような世相の一端を覚えています。
このドラマに触発されて、旧い記憶を頼りに、以下の雑文を纏めてみました。

日本は明治の開国以来、欧米の近代文明を積極的に採り入れ、近代化を図りましたが、この時に先人たちは多くの外来語を日本語化しました。
経済・哲学・科学・演説・主義などはその例です。しかしながら、怒涛のように押し寄せる外来語をすべて翻訳できる筈は有りません。そのために外来語を、そのままカタカで示す場合も多々有りました。
上記の「カレーライス」などは、その例です。序でに並べれば「ナイフ」「フオーク」「ソース」「スープ」などもそうです。

ところが軍部とくに陸軍は外来語を嫌い、無理にも日本語化を図りました。例えば「ブレーキ」を「制動機」、「アクセル」を「調速機」、「ハンドル」を「転輪把手」、「エンジン」を「発動機」と言い替えたのです。この他にも「ズボン」が「軍衣袴」、「ゲートル」が「巻き脚絆」など、多数に及びました。
とは云うものの、全部を適切な日本語にするのは不可能ですから、発音を似せた漢字で糊塗したケースも有ります。例えば「カノン砲」を「加農砲」としました。

このような無理な日本語化は皮肉な事に、当の兵士を悩ませたそうです。当時の兵士の大半は6年の義務教育を辛うじて終わった程度のレベルでしたから、生硬な漢字表記には戸惑ったようです。まだカタカナ表記を丸暗記する方が増しだったと伝えられています。

陸軍に対して海軍は、かなり柔軟な姿勢だったそうです。大英帝国が世界に君臨していた時期には、
各国は英国海軍の様式をを世界標準として採り入れました、日本も例外では有り得ません。
「Go ahead slow」を「前進・微速」としたのは適訳でしたが、総ての日本語化は不可能です。それですから、英語や、それに近いコトバを混用しました。

海上の距離の単位は「Nautical Mile」が世界標準です。これを「海里(カイリ)」と翻訳し「浬」とも記しました、これは和製漢字らしく手元の漢和辞典には記載されていませんでした。
また、速さの単位は「Knot」ですが、意味を採って「節」の漢字を当て「ノット」と読ませました。

老生の感じでは、進歩の早い航空機や電波機器については、英語嫌いの軍部でも、かなり多数の英語を使ったようです。例えば無線機器である「Super-heterodyne Receiver」などは「スーパーヘテロダイン受信機」と云うより方法が有りません。稀に「超ヘテロダイン受信機」とした訳を見ましたが、如何にも無理な表現です。
「Rocket Engine」「Jet Engine」についても「噴射式発動機」と云う訳では区別が付かず、結局原語のカタカナ表記が慣用されました。

こんな話を並べて行くと際限が有りませんが、排他的な国粋主義に執り付かれると、このような方面にも愚行が及ぶ、と云う例を思い出すままに記しました。

                     <以上>

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