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2016年2月26日 (金)

No,145:デッド・コピー物語;キャッチ・アップの時代 (3)

  「カメラ産業の黎明期から頂点への道」

国産カメラが質・量ともに世界トップの座を占めるまでには半世紀ほどを要しました。写真の黎明期の頃は、内外ともに写真師が自ら手造りするか、職人に指示して造らせていましたが、次の時代には機材を生産する企業が現れ。同時にプロ・アマ写真家が生まれました。
日本にカメラ産業が本格的に立ち上がったのは1914年に始まった第一次世界大戦がキッカケだったと思われます。それ以前にも手造り的な生産を行う業者は存在していましたが、欧州先進国からの医薬品・工業製品の輸入が途絶え、国内で調達せざるを得なくなったのです、カメラなどの光学機器もそうでした。

1912年に米コダック社が発売した「べスト・ポケット・コダック」は、カメラ愛好者を急増させました。畳めばチョッキのポケットにも入るコンパクトさ、ロール・フィロムを使い十枚程度の撮影が出来ること、などの特徴を持ち、全世界に広まりました。
日本では、小西六㈱が国産化に取組み、1925年に「パーレット」の名で売り出し一定の評価を得ました。レンズ・シャツターともに国産品でした。(それ以前のカメラはレンズ・シャッターは輸入品を使い、ボディだけを自製していたのです)。原型が発売されてから、10年以上を経て、やっと全国産マシンが出現したのですが、これが突破口となり、以後は続々と国産機が生産されるようになりました。
12_1914_214_1934_3  13_1925_2
上左図は原型となった"ベスト・ポケット・コダック"、上中図は小西六の"パーレット"、上右図はモルタ(後のミノルタ)の"ミノルタ・ペスト"です。これらの国産機の性能・品質は原型に劣らないとの評価を得ました。なお、カメラの本場であるドイツでもコピーした"ピコレット"を造りました、それだけ原型は画期的な設計であったのです。 

1930年代には、スプリング・カメラが登場しました。ドイツのツアイス・イコン社の「セミ・イコンタ」(下左図)が先駆であったと思われます。上記のベスト・ポケット型に比し、遥かに高性能でした。
Semi_lkonta_1932_41935_7 1938_2 
レンズの f-値が8~11 ぐらいに対して3.5~6.3 と向上し、シャッター速度は低速から高速まで広範囲になりました。
日本では、逸早く国産化が図られ、ミノルタが"セミ・ミノルタ"(上中図)、小西六が"セミ・パール"(上右図)、を発表し、他にも数社が追随しました。 このコピーには数年の遅れは有りましたが、上記のコダックの国産化に比して期間は短縮しました。より高性能のモデルをより短期間で行ったのですから、技術レベルは向上したと見られます。
      

ほぼ同時期に二眼レフレックスという形式が現れました。ドイツのフランケ・ハイデッケ社の製品です。一見、奇異な形で発売当初は違和感を持つ人もいたようですが、6cm ×6cm の大きなピント・グラスの上で被写体の状況を視認できるという特徴に魅せられる人も多く、ベストセラーになりました。
人物や風景を"じっくりと構えて撮る"には最適とされました。

22_193330_1937_2 日本では1937年に、ミノルタが"ミノルタ・フレックス"を発表しました。 これは、ハイデッケの「ローライ・フレックス」とツアイスの「イコフレックス」を折衷したようなモデルでしたが、性能・機能ともに完成度の高い製品と評されました。
左図は原型となった"ローライ・コード"、右図は"ミノルタ・フレックス"です。
この国産化も原型発表から数年後でした。レンズ・シャッターなどの主用部品から、レンズ繰り出しの精巧なメカニズムに至るまで自製できる技術レベルに達したわけです。
次いで、ミノルタはハイデッケの最高級機"ローライ・フレックス・オートマート"に匹敵する"ミノルタ・フレックス・オートマット"を発表しました。
 
              <以下次号>

   

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コメント

2016年になって立て続けにアップデ-トですね。
敬服いたします。
古い資料を沢山お持ちなのですね。
科学・技術史コレクション
の中に少し気になる部分がありました。
sna75465@nifty.com
nkym-mtys@nifty.com
宛に1/14日メ-ルさせていただきました。
お読みいただけませんでしょうか。

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