無料ブログはココログ

« No152: 「大学生の書く力」を読んで | トップページ | No.154: 「昭和一桁生まれ」の妄言多々 (2) »

2016年7月23日 (土)

No.153:「昭和一桁生まれ」の妄言多々(1)

「昭和一桁生れ」という言葉は殆んど云われなくなりました。1925年~1934年に生誕した人々ですから既に鬼籍に入った方々も多く、生存者も社会とは疎遠になっていますから話題にならないのも無理は有りません。
しかしながら、この年代はあの太平洋戦争を実体験した「歴史の生き証人」というべき貴重な存在です。1941年の開戦時に7~16歳、1945年の終戦時には11~20歳でした。この位の年齢ともなれば、かなりの記憶力がありますし、後半になれば相応な理解力・判断力も持ちます。
老生はその年代の者ですが、世に刊行されている戦中・戦後史の類が殆んど採り上げない事項や誤解されている事績などに関して、いわば「落穂拾い」的な補足を試みました。

「航空朝日」「海と空」「機械化」等の軍事科学雑誌について

これらの雑誌は概ね1935~1945年にわたり刊行されたものです。軍国体制の下で、一般国民に軍事科学の知識を広め、かつ戦意向上を狙った雑誌でした。精神力を強調した当時の軍部でも近代の戦争は国の科学技術力・工業生産力・戦略資源の多寡が大きく関与することは、承知していましたから、ドロナワ式に軍事科学の知識の普及を図りました。その現われの一つがこれらの雑誌の刊行です。
老生は小学上級から中学(旧制)の時期に、この種の雑誌を夢中になって読みました。これらの雑誌は子供向きに書かれてはいませんでしたが、何とか読みこなしました。クラスの中には同好の士が数人はいましたから、互いに情報交換をしたものです。云うならば「軍事オタク少年」でした。10歳台の子供でしたが、これらの雑誌を介して得た知識は、一般の兵士・軍人を凌ぐほどでした。(今日でも、若年のITオタクやハッカーが、時に専門家を驚かす事があります、それと似たようなものでしょう)

「航空朝日

この雑誌の執筆者は大学教授やメーカーの技師、技術将校などであり、専門用語を駆使したかなり程度の高い内容でした。老生は、この雑誌により「翼面荷重」「馬力荷重」「砲口馬力」などの専門用語を知り、その数値が性能・戦力に如何に関るか、なども把握しました。また、空冷エンジンと水冷エンジンの優劣比較なども理解しました。
さらに出色なのは、海外の軍用機の性能を調査・推定する記事でした。軍用機の性能は各国とも秘中の秘としていましたが、それだからこそ、公開情報・間接情報・部分情報を駆使して実態に迫ろうするわけです。
右図は同誌の記事で、米軍機グラマン"F6F"について詳細に分析しています。日本中を焼き払った"B-29" 爆撃機についても、空襲の始まる数ヶ月前からかなり実態に迫る記載があったと記憶しています。
これらの記事の内容はかなり精緻なものでした。当時の戦況と照らし合わせると、良くもこれほどの情報を収集できたものと感心させられます。

19441_5  19454b_3
この雑誌は朝日新聞社が刊行したのですが、同社のホームページを検索しても、見つけ出せませんでした。同社の戦時協力の一環でも有ったわけですから、あまり触れられたくないのかもしれません。しかし、航空技術の啓蒙誌としては立派な内容でしたから、何等かの形で後世に残したいものです。

今日、この雑誌を容易に閲覧できるのは、日本航空協会の航空会館に設けられた航空図書館だけのようです。老生は何度か訪れました。その他、幾つかの大学図書館に保管されているようですが確認はしていません。

また、今でも専門古書店で扱かうところが有るようです。先日、ネットで調べたら、数千円の価格がついていました。もし、創刊から終刊まで揃えたら何十万円に達しそうです。
また、戦後に欧米植民地から独立した新興国の駐日武官らが、貴重な軍事資料として買い漁った事もあるそうです。

                                         <以下次号>






 





              
   

« No152: 「大学生の書く力」を読んで | トップページ | No.154: 「昭和一桁生まれ」の妄言多々 (2) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/575020/63955298

この記事へのトラックバック一覧です: No.153:「昭和一桁生まれ」の妄言多々(1):

« No152: 「大学生の書く力」を読んで | トップページ | No.154: 「昭和一桁生まれ」の妄言多々 (2) »