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2017年6月 4日 (日)

No.173: "森友・加計 事件"により 「虚構大学」 を再読しました

Photo"森友学園"に端を発した政官学の癒着疑惑は"加計学園"に至って炎上した感が有ります。
この件について、老生は嘗て読んだ清水一行氏の著した小説「虚構大学」を思い出しました。
この小説は1979年に上梓されましたから、もう40年近く経ちます。読んだ当時は、フィクションながら、こんな世界もあるのかな、と感じた程度でした。

今回の政争にまで広がった事件に際して改めて再読し、その内容が今日の話題に酷似しているのではないかと感じ驚きました。
老生なりに、その内容を要約し、合わせて私見も交えました。

1. 既存の大学の多くが左傾教授に牛耳られている実態を憂慮したF氏は、健全な大学を創立しようと志し、高校つくりに実績のあったS氏に協力を求め、二人三脚の体制でスタートしました。
2. 大学の設置をするには許認可権を持つ文部省(現文部科学省)に申請し、その審査に合格する必要が有ります。文部省には設置基準が有り、教職員・校舎と設備・運営資金などについて厳しく審査されます。
3. それですから申請時点に、基準の定める規模(ヒト・モノ)と確実な運営見通し(カネ)が必要とされます。
これは高いハードルです。一般の民間企業の場合には、個人企業・零細企業から出発し、多くの経営の山谷を経て成長して行くことが可能ですが、教育機関の場合は、出発時点で中堅企業にも匹敵する投資(人材・設備など)を必要とし、確固とした経営見通しが求められます。
4. 理想の学園を創設しようとする人々も、現実には理想・理念を暫く脇に置いて、土地の手配・資金集めなどに狂奔せざるを得ません。そのためには関係方面に働きかけ、時には際どい交渉・取引も避けられません。
5. 小説の展開では、林野庁の首脳に働きかけて国有地の払い下げを受けたり、資金については、見せ金を駆使して銀行の融資担当を篭絡するシーンなどが有ります。
6. とにもかくにも計画が緒に就き、その情報が拡散するにつれて、いわゆる文教族議員が介入し、自らの政治力を誇示しようとします。 また、 教職関係者も、新設大学に然るべき地位を得ようとして、自薦・他薦の売り込みを謀ります。さらに建設業者は校舎・設備の受注を狙い、図書・教材の販売業者も大量の商機を期待します。
7. 大学の新設を利権ゃ利益を獲得する好機と捉えた人々が蜜にたかる蟻のように雲集し、至るところで競合・摩擦を生じます。これは、創立計画者の理想や意図を超えた事態でした。小説では、計画者は途中で去り、実務推進者は見通しを得た段階で辞任しています。

{たまの玄太の蛇足}
大略の荒筋を纏めた心算ですが、老生の誤解や見落しも多々在ると思われます。
しかしながら老生が痛感したのは、教育事業を立ち上げるには膨大な初期投資 (ヒト・カネ・モノ) が必要である、という事です。これが利権・利益に関る人々が多発する一因ではないでしょうか?

対照的に明治期に創設され、その後に大を成した名門私大の多くは創立者の私塾か、それに近い簡素な規模・体制でした。
それが次第に実績を積み、正規の大学に昇格していったのです。旧帝国大学が国家の意思で欧米大学をモデルとして、始めから相応に整備された体制から出発したのとは大差が有りました。

こんな考察をしてみると、民間有志の抱く高い理想も、実現のプロセスに於いて利益追求を基幹とする資本主義の持つ悪弊に影響を受けざるを得ないように感じます。

欧米の名門大学には、大富豪の寄付や王侯貴族の後援を得て、豊富な資金により設立された事例が多いと聞きます。このようなケースであれば、「虚構大学」に描かれたようなダーティな場面は起こらないかもしれません。
日本でも、明治期に実業家の竹内明太郎が、W大理工学部の設立に多大の貢献をし、昭和期にも実業家の藤原銀次郎氏が藤原工大を創立し後にK大理工学部に移管した事例が有ります。

しかしながら、このような事例は「旧き良き時代」においてのみ、成し得たのかも知れません。
最近の学園設立騒動に触れて、思いつくままに記しました。

                 <以上>

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