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2017年11月25日 (土)

No.179  有力メーカーの不正事件の続発に思う (1)

1. 去る24日のニュースは「M 社」のデーター捏造を報じました。この数年、有名メーカーのデーター捏造や無資格者による検査などの不祥事が頻発しています。日本の製造業は高性能で高品質の製品を世界に輸出して、好評を得ていたのですが、かかる不詳事の続発は、数十年を超える研鑽・努力によって得た名声と信用を失いかねないと憂慮されます。
 
2. 老生はリタイアして既に20数年になりますが、40年近く電子産業の企業で研究・開発に携わっていました。1960年代に始まった高度成長の一端を支えた経験を持ちます。
その老生から見ると近年のモロモロの不詳事例を見聞すると 「何たるザマか」 と憤りを感じます。
 
3. しかしながら何人も、このような事件を好んで起こすとは考えられません。それにも関わらず、幾多の業種で頻発するには、相応の事由・背後関係が潜在すると思われます。そこで、老生なりの 「やぶにらみ的妄言」 を試みます。
 
4. 先日のY新聞記事は、「収益に片寄つた経営姿勢」 と経営幹部は説明し、「これぐらいなら問題ないのでは」 と現場が軽く見た、と報じていました。
この解説は誤りではないでしょうが、老生は違和感を持ちます。
 
5. 企業組織において、経営幹部と製造現場は対等の関係では有りません。厳然たる上下の力関係が存在します。 
企業が利益追求の組織です。経営幹部は口を開けば、「成果を出せ」 「数字で示せ」 と要求します。ここまでは良いとしても 「言い訳を云うな」 と釘をさすのが常態です。
 
6. さらに、「オレは細かい事は知らない、無理難題は承知しているが、それを何とかするのが、お前らの役目だ」 との放言も日常茶飯事です。
このように連日攻め立てれると、直接に業務を受け持つ現場管理職のクラスは、一時逃れとして軽微なルール違反には目を瞑つても、生産ノルマの帳尻合わせをするケースも生じ得ます。
 
7. こう云うと、「経営幹部の機嫌を損ねても、現場の実態を直言すべきだ」  と評論家諸氏は批判しますが、実際には殆ど不可能でしょう。また、欧米ならば「無理だ、不可能だ」 と明言するが、摩擦を嫌う日本人は云わない、などと海外の例を持ち出す「・・・ではの守氏」も現れます。
このように批判する人々は自由業かそれに近い立場の方で組織の力学をご存知ないようです。
 
8 .また、テレビなどで紹介される町工場の「ものつくり名工」を引き合いに出して、大組織の技術人の劣化を論難する方も居ますが、その比較は適切ではありません。彼等の属する小企業での製品は一人もしくは数人の判断で処理できる範疇の製品か、ハイテク製品を構成する一部品です。
彼らが優れた 「匠の技」 を駆使しても、一人あるいは数人で今日のハイテク製品 (完成品) を量産することは出来ません。
 
9. 28日のY新聞は 「日本のモノ作りは大丈夫か」 というタイトルの1頁記事で3人の意見を載せていました。有名メーカーの技術系役員であったS.J氏は、基準が高く設定されていたと指摘し、その根拠としてK社の素材を使った諸製品が強度不足で破壊したという例を聞かない、と説いています。氏は続けて、時代の変化とともに素材の特性や使用法も変わる、それに対応して基準の見直しが必要だとも記しています。それがコストダウンに繋がり、イノベーションを生むとも主張しています。
 
10. 同じ紙面で町工場を経営するA.T氏も日本のオーバースペック  (過剰品質) 指摘していました。また、日本子業規格 (IS) が有るのに国際標準化機構 (IEC) に従うように求められるケースが有る。欧米諸国は自国に有利なようにルールを変えるが、日本は弱腰で独自性を主張しない、とも記しています。
 
11. K大のK.K教授は、企業風土の観点から論じています。上司との摩擦を避けて、難題を何とか解決しようとするが、無理を重ねると歪が表面化する。円高やバブル崩壊後の不況で経費削減を徹底した。無理な要求が増え、現場は上層部に迷惑が及ばぬように忖度する中で、自然発生的に不正が定着した、と断じています。
 
12. ここまで書いてきた29日にはT.R社のデーター改竄が報じられました。新聞記事によれば、"品質保証室長" が2代・8年にわたって行っていた、との事です。この記事を読んで首脳陣の無恥厚顔ぶりに呆れました。
いままでの各社の発表事例では、不詳事の関わった特定の役職者を明言していません。T.R社の態度は、まさに「トカゲの尻尾切り」では有りませんか。
 
この役職がどの程度のポストであるか、老生は知りませんが、まあ部長クラスでしょう、経営首脳からは3ランクぐらい下ではないでしょうか。そのクラスの社員が全くの独断でできる筈はありません。上層部の暗黙の了解を取り付けたか、逆に上からの示唆があった筈です。
同社はトップが経団連会長に推されるほどの名門企業ですが、今回の事件発表はお粗末の極みです。
 
13. このように、不詳事が頻発するのは、バブル経済崩壊後に厳しい経営環境が厳しくなった故と云われますが、それだけではないと、老生は愚考します。
そこで、次回には老生なりの迷論の展開を試みます。
 
                         < 下次号 >

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