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2017年12月 3日 (日)

No.180 : 有力メーカーの不正事件の続発に想う (2)

14.  前回で記した種々のケースに共通するのは、経営幹部が生産現場の実態を知らず、知ろうともせず、現場の部長クラスに丸投げしているのではないかと云う疑念です。
例えば、自社の生産原場を定期的に視察する方は、どれ程いるでしょうか。
こう云うと、現代のハイテク工場は大規模で高度、且つ複雑多岐にわたるから、専門知識を持たぬ経営幹部が短時間の視察をしても意味が無い、などとの反論もあるでしょう。
しかし、職場の空気を引き締め士気を高め、不祥事を防ぐ効果を期待できます。
 
15. 経営幹部は、自社の製品について業界での位置付けを明快に認識しているでしょうか。その位置付けの細部に至るまで把握しているでしょうか。その位置付けを向上させるための施策や具体案を常に考究しているでしょうか。
 
16. 多くの大企業では、経営幹部の大半は、いわゆる文系出身です。彼らは 「細かい技術の内容」は知らなくても、大局観を以て総合的な経営判断は出来る」 と云うような発言をしたがります。その説を全否定はしませんが、実績で示して頂きたいものです。
 
17. 高度成長期に活躍した経営者には、技術系出身で生産原場に強い関心を持った方が、かなり存在しました。 S社の創業者 I.M 氏、H社の創業者 H.S 氏、M社の創業者 M.K 氏、などが代表的な方です。これらの方は技術者として傑出し、経営者としても成功を収めました。 
低成長期に入ってからは、このような人材が減少したように感じます。
 
18.  低成長期に入ってからは、未踏分野の開発にリスクを賭けるよりも、既存分野の合理化を図り利益を得ようとする経営姿勢が目立つようになりました。そのために、経営幹部は財務・労務などの文系人材が主流を占める傾向が有ったようです。
 
18. 日本の高度成長の頃、米国内では 「企業の首脳が有名大学院卒の経営学修士 (MBA) で占められたが、彼等は生産原場を知らず、紙上に現れる収益のみを追い求めた、これが米産業の衰退の理由だ」 という論議が有ったようです。このような反省は、現在の日本についても、云えるのではないでしょうか?
 
19. 迷論を云うなならば、高度成長期は戦国乱世期に、低成長期は平和安定期に相当するのではないでしょうか? 戦国期には武力の傑出した人物が大名となり天下を獲得しました。平和期になると武士であっても財務・管理に長けた人物が実権を握るようになりました。 この実権者交代の傾向は歴史の節目ごとに見られ、近代社会でも同様であると老生は愚考します。
 
20. 現代について敷衍するならば、アナログ電子機器業界の角逐で日本は世界に覇権を得ました、開発競争・生産競争に勝ち抜いたのです。その主役は技術系人士でした。 やがて、開発途上国にも技術が流出して、そのレベルが上がってくると、日本の技術優位性が失われ、価格競争の時代になりました。こうなると、コストダウン・合理化が主題となり、文系の管理屋の発言力が強くなるわけです。
つまり、戦国期から平和期に移行したというアナロジーが見られます。
 
21. ところが平和期と思われていた時期にも、一方ではデジタル電子機器の熾烈な競争が始まっていました。この競争に、日本は出遅れました。平和期の対応に腐心していて、次なる胎動への目配りに欠けたからでしょう。その一因は、技術に疎い管理・財務系の幹部が主導していたからです。デジタル電子機器の覇権は米国に移りました。
 
22.   米国はデジタル電子機器で傑出しましたが、設計開発は自社で行い、生産は海外に委託する水平分業なるシステムを編み出しました。 日本は自社および傘下の下請けで全てを処理する垂直統合シスエムで成功した体験から抜け出せず、コスト競争で苦戦し、じり貧状態に追い込まれました。
このようなビジネズ・モデルの変換期に遭遇して、「大局観を持ち、総合判断できる」 と自称する文系出の経営陣諸侯は如何なる決断と行動をとれるのでしょうか?
 
23. さらに急速に発展する IT ビジネズ の特質は技術開発と市場開発が密接に絡み合う事です。新しい技術を応用して新市場が生まれる一方で、市場の新しい要望が次なる新しい技術を生み出す。このような関係が双方向に急速に進みます。このような相互関係は従来から在りましたが、近年は特に著しくなりました。即ち既に戦国乱世の様相を呈しています。
このような事態にはトップの即断即決が求められます。これを適時適切に行える文系出のトップは、存在するでしょうか?
 
24. 電機・電子の名門企業であるT社が不振に陥り、高収益のメモリ部門を売却するというニュースは業界人に衝撃を与えました。米の名門WH社の原子力部門を買収したのが重荷になったと伝えられます。同社は既に医用機器・白モノ家電・パソコンなどを切り売りして来ましたが、原子力部門への集中投資に依って起死回生を図ったものの、期待に反して赤字を増大させたようです。
この例など、"大局観" も "総合判断" も実効が無かったようです。
 
25.  T社のメモリ部門ではフラッシュ・メモリが儲け頭で、これを発明したのは天才的な研究者と評され、海外でも高く評価されていたそうです。ところが、同氏は優遇されることなく、大学に移籍しました。経営判断に失敗した首脳は居直り、技術で貢献した研究者は冷遇される、このような経営姿勢は問題だと感じます。しかし、このような事例は他に幾らもあります。
 
26. 終わりに。 
思いつくままに、アトアンダムにに妄言を書き散らしました。吉田兼好法師は 「おぼしき事云わぬは、腹ふくるる業なれば・・・・・」 との名句を残しました。老生の心境も、そのとおりです。
                                                  <以上>
 
 
 
 

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