無料ブログはココログ

« No.181: RCA社の興亡に想う (1) | トップページ | No.183:RCA社の興亡に想う (3) »

2018年3月 7日 (水)

No.182: RCA社の興亡に想う (2)

<音響事業への進出>
RCA社は1929年に Victor Talking Machine 社を傘下に収めて、音響事業に参入しました。 左図は、その時期に発表した電気蓄音機 9U-2型、右はレコードです。
1929_s_3Photo_7電子技術を導入した電気蓄音機は、それまでの機械式とは異なり、音量を自由に加減でき、音質も好みに応じて調節できるので、音楽愛好家を魅了し、ブームを起こしました。
また、使用した商標は、蓄音機のホーンに耳を傾ける犬 (ニッパー) を配したユニークなデザインが人気を呼び、世界中に浸透しました。
音響事業は、機器の製造販売に並行して、音楽作品を準備する必要が有ります。換言すれば、機器(ハード)を売るためには、音源(ソフト)の品揃えが要ります。
そのためには、音楽業界の慣習や著作権について把握した上で事業を創めるわけです。 開発や生産の技術力のが有れば事足れり、と云う単純なものでは有りません。
それらの諸問題を、次々とクリアして、有力な事業分野に成長させたRCA社の力量は大したものと思われます。
<テレビジョン事業への展開>
音声・音楽を大衆に伝えるラジオ事業が成功すれば、次の段階として映像を放送しようと企てるのは自然の趨勢です。早くも1923年にRCA社のツヴォルキン博士は撮像管 "アイコノスコープ" を開発しました。
1923_s_2図は発明品を手にする博士です。この頃、世界各国で、テレビの研究が行はれていましたが、大別すると、機械式と電子式に分類されました。
先駆者として知られる英国のベアードや、日本の山本・川原田 (早大) や曽根 (電気試験所) らは機械式を推進していましたが、RCA社は得意の電子管技術を駆使したのです。
なお、日本でも高柳 (浜松高工・現静岡大) はツヴォルキンと同様の着想を同時期に得て、国内の特許を出願していました。
撮像管はテレヴィジョンの心臓部ともいうべき素子ですが、それだけでテレヴィジョン技術が完成するわけでは有りません。関連する多くの回路技術が必要で、RCA社はそれらの殆どを解決し、特許の網の目を張り巡らしました。
RCA社は、1931年にはTV試験電波を、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルに設けた設備から発射しました。次いで1939年には世界博を機に放送を開始しました。
1939_rca_television_ad_2
Rca_71946左図はTV放送の案内パンフレット、右図は当時の受像機の一例です。
その頃は受像管が高価でしたから図示の例では7吋と小さいものでした。その後、受像管のサイズは、17吋,21吋,24吋,27吋と次第に大きくなりました。
放送開始から数年間はモノクローム (白黒) でしたが、次の段階としてカラー化の研究は続けられていました。1951年には、RCA社が主導して NTSC 方式なる規格が公式化されて、放送電波は漸次カラー化しました。それに対応して受像機もカラー化が進みました。
TV ビジネスは、それより前のラジオ ビジネスに比して桁違いのスケールでした。それは一国の基幹産業に比肩する程に成長したのです。その中心はRCA社でした。
RCA社は "真空管王国" に次いで "ラジオ・テレビ王国" を築いたのです。
<特許の網の目・アンブレラ方式>
RCA社は、真空管技術・ラジオ技術・テレビ技術などの電子技術分野に、強力且つ広範な特許を押さえていました。
優秀な人材を集め、精緻な研究所を組織して開発を推進
しました。また、必要に応じては他社所有の特許を買収したそうです。
1950年代の初めに日本のメーカーはRCA社とライセンス契約を結びました。そので契約はテレビ技術に関わる項目を一括して契約する方式で、各テーマ毎の契約ではなかったののです。比喩的に云うならば、「宝の山の採掘権」を与えるという方式です。
この方式だと、使わぬ場合でも一定の特許料を支払う義務が有りますが、有効に活用して大きな利益を得た場合には、割安になる可能性が有ります。
日本の各社はセットメーカーから部品メーカーに至るまで、この 「アンブレラ方式」 で契約したと云われます。
                <以下次号>
 
 
 

« No.181: RCA社の興亡に想う (1) | トップページ | No.183:RCA社の興亡に想う (3) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/575020/66470084

この記事へのトラックバック一覧です: No.182: RCA社の興亡に想う (2):

« No.181: RCA社の興亡に想う (1) | トップページ | No.183:RCA社の興亡に想う (3) »