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2018年3月15日 (木)

No.184 :RCA社の興亡に想う (4)

<大成しなかった次世代大型ビジネス>
 RCA社は、ラジオ事業・真空管事業・テレビ事業に次ぐ革新的な大型ビジネスを育成するのに成功しませんでした。
   例えば、録音・録画の機器について、他社を圧倒するような機器を開発し事業化できませんでした。同社はRCA Victor のブランドで電気蓄音機およびSPレコードの世界では王者の地位を占めましたが、その後の長時間レコードの開発ではEPレコードを発表したものの、CBSのLPレコードには苦戦しました。さらにソニー・フィリップス連合の開発したデジタル方式のCDには差を付けられました。
 別の流れとして、磁気テープレコーダーが有りましたが、これも、日本やオランダの攻勢に太刀打ち出来ませんでした。
 録画装置については、かなり前から研究を始めていて、1953年頃には、放送局用の機器を発表しました。
1953_vtrs_2 
1960_vtr_5   左図はその装置です。録画時間は数分に過ぎなかったそうです。右図は1960年に発表された機器です。この頃になると製品としての完成度も一応の水準に達したようです。しかし、米国内では Ampex社と云う強力なライバルが居ました。
 さらに、家庭用VTR については、日本勢の攻勢が有りました。この分野は日本メーカーが独走し、欧米を圧倒しつつありました。
   家庭用の録画装置には、デスク方式という流れも有りました。「絵の出るレコード」というキャッチ・フレーズで各国の有力メーカーが開発に鎬を削りました。
    RCA社は 「セレクタビジョン」 と称する静電容量の技法を採り入れたシステムの機器を開発し、売り出しました。
同社は、このシステムに期待し多大な開発投資をしましたが、事業としては」成功しませんでした。
  開発に着手した当時の事情を忖度すると、嘗て成功を収めたレコード事業の延長線上との思い込みが強かったのではないでしょうか?
1961
左図は、RCA社の発売した「セレクタビジョン」の一例です。
  ライバルの立場にあったVTRは当初はオープン・リールの磁気テープを使いましたが、これは一般家庭人には扱い難い難点が有りました。一方、レコード(音響) は普及していましたから、同様に扱えるデスク(画像) の方が有望ではないか、との発想が有ったのでしょう。しかしながら、VTR 側はカセット形式を採って取り扱いの簡素化を実現し、録画の機能も持つので、デスク側を圧倒しました。
  このビジネスの不成功は、同社の経営を危機に陥れたとさえ囁かれました。
    今では、殆ど知られていないようですが、RCA社はコンピューターにも関わり合いました。得意の電子管技術を活用した記憶装置や磁気コアメモリー、磁気ドラムメモリーなども開発し、業界に貢献しました。同社の先進開発グループ (ADG) はBIZMAC という大型コンピュータ・シSテムを製造し、米陸軍の兵站管理に重用されました。
  しかしながら、この分野のビジネスは同社の経営体質とは馴染み難かったようで、何時しか手を引きました。
  同社は複写機にもトライしましたが、業務用・家庭用ともに不発でした。
  素材については、液晶や太陽電池の研究もして居ましたが、行き詰まり放棄したと伝えられます。この分野は日本のシャープ社などが追いつき・追い越して実用化に成功したことは周知です。
    1970年頃にCATV (有線テレビ) が注目された事が有ります。初めは難視聴地域に、大規模アンテナ設備を設け、そこから同軸ケーブルを介して各家に良好なテレビ信号を配信するシステムで、かなりの普及が有りました。そうなると、伝送容量の大きいケーブルを家々にまで配線するのだから、より多くの情報を双方向で扱えるという夢が生まれ遂に "Wired City" なる構想が提唱されました。
  内外の有力メーカーが開発を推進し、RCA社も着手しましたが、結果としては実を結びませんでした。もっとも、他社も同様でした。後年、全く別の技法と思想により生まれたインターネットが、 "Wired City" が意図した以上の機能を実現しました。技術予測は難しいと痛感させられます。
            <以下次号>

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