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2018年7月23日 (月)

No.196 : 名論卓説 & 迷論惑説 (8)

12. [ 工学部ヒラノ教授 (シリーズ)] : 今野 浩
   東京工大名誉教授・前中央大学教授の今野浩博士は理財工学 (金融工学) の先 駆者として著名な方ですが、ノン・フイクション作家としても活躍して居られます。

Photo_3__7  20世紀後半に日本が製造大国を築いたのは、旧ソ連邦が1957年に人類初の人工衛星を打ち上げて、世界に衝撃を与えたスプートニク・ショックに由来する。
  日本政府は、これに対応して、理工系大学の大幅な拡張を行った。この時期に進学・卒業したエンジニアの研鑽・努力により、世界最強の産業国家が生まれた。    
  然るに彼等は、その才能と功績に見合う処遇を受けていない。 この現実を世の大部分の人は知らないようである。
    (理系人と文系人の給与は、かなりの格差がある、それに関して) 官僚のトップに達した友人は次のように言い放った。「エンジニアは好きな事が出来るから幸せだ。数学が出来ない我々は、仕方なしに ”つまらない仕事" に就いた。二人のうち、一人は好きな仕事をやり、他の一人は好きでもない仕事をしたならば、後者の給与が高いのは当然である」
  (友人間の世間話・裏話としても) 政府高官が、国政に関わる仕事を "つまらない仕事" と云い捨てるのは如何なものであろうか?
 
  工学部は製造業の兵站基地として、20世紀末の日本を支えた。しかし、世間の人々は、工学部とは何か、其処ではどのような人が、どのように考えて働いているか、全く知らない。工学部は、いわば日本社会におけるチベットのような存在である。
  エンジニアは、自分の事を語ろうとしないし、一般の人はエンンジニアに関心を持たないからである。エンジニアは黙々と働き、世界中より蜜を集めた。文系人は、その蜜を腹一盃食べたくせに、エンジニアに感謝しない。彼等はエンジニアを働く事しか能のない働き蜂の集団だと思っている。
  確かにエンジニアは働くのが好きだ。しかし、それだけの理由で働いているわけではない。世界最強の製造大国を創ったエンジニアが何を考え、どのように毎日を送ってきたか、またエンジニアの棲家である理工系大学とは、どのような存在であるかを、誰かが後世のために伝えるべきではないか。
(法律系の人は、発言・主張がなければ存在しないのに等しい、と切り捨てる習性がある。)
  勤務先の大学での定年が迫った頃、「工学部の語り部」の役を買って出ようと決心した。
 
エンジニア8箇条
1. 決められた時間に遅れない事。(納期厳守)
2.  一流の専門家になって仲間たちの信用を得る努力を     する事。
3. 専門外の事には軽々と口出ししない事。
4. 仲間から頼まれた事は (特別の理由のない限り) 断らない事。
5. 他人の話は最後まで聞く事。
6. 学生や仲間を貶さない事。
7. 拙速を旨とする事。
8. 索引のない本は読まないこと。 
                                                                                     <たまの玄太の一言>
  1970年頃、大学レジャーランド論が盛んに唱えられました。古ぼけたノートを毎年読み上げる教授、勉学に熱意なく私語を交わし遊びに熱中する学生、が学園に溢れたのからです。
  さらに、1990年、作家の筒井康隆氏は「文学部唯野教授」を岩波書店より刊行して、話題になりました。有名私大をモデルにした架空の大学の文学部教授たちの変人・奇人・非常識ぶりを戯画化して描いた作品です。
  これらにより、市民は大学の内情を知ったのですが、他の学部も同様だろうと思い込んだ人が多いようです。
  このような風潮は、今野博士にとっては、放置出来ない事だったでしょう。理工系学部は世界中を相手に熾烈な先陣争いをしているのですから、レジャーランド化してはいられません。(東大本郷キャンパスで、工学部の研究室は夜半まで点灯しているのに、隣接の経済学部は夕刻には消灯される、と指摘しています。)
     博士が 「工学部の語り部」 の役を買って出たのは、このような誤った認識を改めさせたいとの意欲に依ると推察されます。
     老生は、博士より11年も年長の元通信技術者です。現役時代には、日本の高度成長と技術革新を支えた自負と誇りを持っています。博士の著書は、老生がかねて感じていたモロモロの問題の核心を突いた作が多く、愛読しています。
              <以上>  
 
 

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