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2018年10月12日 (金)

No.201:迷論、格差に関わるモロモロ (4)

[ 知的財産権に関わる格差 ]
    具体的な物の形をしていなくても、財産権を主張できる制度が在ります。著作権と云えば誰でも了解するでしょう、特許権と云えば多くの方は、それもそうだな、と納得するでしょう。どちらも、ヒトの頭脳の働きに価値を認めて、創造者の権利を認め経済的な保障を行う制度です。
  前者は主として文芸作品における創作者の利益を保護し、後者は主に産業界において新規技術の利益を護るために制定されました。それぞれの制度の成立や経過は異なりますが、現行の状況を見ると、"ずいぶん差があるものだ" と痛感します。
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  第一に気が付くのは、有効期間です。著作権は著者の死後50年にも及びますが、特許権は出願の日から20年です。(特許は出願してから審査があり、これに数年を要する場合が有りますから、実質の有効期間は十数年です。)
  第二に著作権は自動的に発生します、そのための費用は発生しません。一方、特許権には公的機関の審査が有り、且つ出願および権利の維持に費用を要します。
  この2項目を見ただけでも、ずいぶんな格差が有ります。もちろん各々の業界には、それぞれの、事情や経緯があり、立法者はその時点では合理的且つ妥当なものと考えたのでしょう。
  第三には、知的作業に関わった創作者に対する経済的リターンの差です。これは制度の条文には直接には触れていませんし、一般市民の方々は余り関心を持たないようです。 
  著作権は云うまでもなく作者に帰属します。出版物の場合には、価格と売上数にリンクした印税という形で出版社から著者に支払われます。
  一方、特許権の場合は大きく異なります。特許が成立した時点で、特許権は発明者から所属企業に無償譲渡されるのが慣例になっています。従って、特許を事業に活用して企業が利益を得ても発明者は何らの利益も得られないのです。企業側の論理では、設備も研究費も企業が負担し、且つ関係者の協力もある、さらに入社時の契約書 (誓約書) には "職務発明についての特許権は会社に帰属する" との一項がある、と主張します。
  実際には、企業側も金一封を与えたり、表彰状を出したり、賞与の査定で差を付けたり、と云う程度の事はしますが、企業の得た利益に比すれば微々たるものです。
  このような実態は、特許法の成立後、何十年も続きましたが、遂に一石を投じるヒトが現れました。青色発光ダイオードの発明でノーベル賞を得た "N.S博士" です。博士は地方の中小企業に在職中に、画期的な研究を行い遂に工業化に成功しました。これにより、無名の地方企業は業績を伸ばし世に知られるようになりました。
Photo   しかしながら、当該企業は "N.S博士" に僅か2万円の報奨金を与えたに過ぎなかったそうです。その事実を知った海外の研究者は "スレイブ (奴隷) ナカムラ" と云って同情し、且つ日本の企業風土を批判しました。
  博士は後に会社を相手に訴訟を起こし200億円を要求して、話題になりました。種々の経緯を経て、8憶円余で和解に至りましたが、これを契機として企業勤務の研究技術者の業績に、相応の経済的見返りを考慮する傾向は出て来たようです。
     文芸界と産業界とでは経営・管理に大差が有るのは事実で、例えば優れた文学書を出版・販売するのと、優れた自動車を開発・生産・販売するのとは、それに要するヒト・カネ・モノの経営資源は桁違いです。天才的な研究者により、画期的な発明がされても、それを応用した製品を軌道に乗せるまでには、多数の人材の協力を要します。それですから、特許を得た研究者の貢献度だけを評価し難い社内事情も否定はできません。
   とは云っても、独創的な発明を生み出した人材の功績は、協力者や助言者のそれとは区別して評価すべきでしょう。
  米国などでは、研究者・技術者が自己の発明・考案をタネに起業する例が多く、経済社会も支援する例が多いようです。企業に帰属して、発明の成果の殆どを吸い上げられるよりも、自分で直接に果実を掴もうという意図でしょう。
日本でも、漸くそのような動きは見られるようになって来たようです。その動きを支援するような社会になりたいものです。
              <以下次号>

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