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2019年9月 1日 (日)

No.223 : 昭和一桁生まれの読書遍歴 (2)

4. 「少年倶楽部」 「子供の科学」 の衝撃

   小4の頃、友人の家で雑誌  「少年倶楽部」  を見る機会が有り、"世の中には、こんなに面白い読物があるのか"   と思いました。江戸川乱歩の探偵小説、海野十三の軍事科学小説、南洋一郎の冒険小説、平田晋作の海軍小説、佐藤紅緑の立身物語、吉川英治の時代小説、佐々木邦のユーモア小説など、が満載されていたのです。早速、親に頼んで買ってもらい、文字どおり寝食を忘れて読み耽りました。それらの作品はかなり高度なもので、そのストーリーの面白さとともに、百科事典的な知識  (主として科学知識)  も得られました。
        この雑誌は小学館発行の学習雑誌とは、全く異なる編集方針のようでした。つまり、成人向きの娯楽雑誌  「講談倶楽部」  「キング」  「富士」    等を少年向きにしたような感じでした。それですから面白い事は確かですが、夢中になり過ぎると、学業に影響したかもしれません。老生はそんな事もなく、受験勉強もこなして、難関と云われた東京府立のナンバースクールに合格しました。
   中学に入学して学友ができると、生徒に2種類の類型が有る事に気が付きました。それは、多方面の読書をした博学多識で好奇心に強いタイプと、受験勉強に専念して教科書・参考書だけしか知らぬタイプでした。このような性向は、社会人になっても変わらぬようで、前者は管理的業務、後者は専門的業務に就いているようです。

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   もう一つの発見は  「子供の科学」  でした。小学校上級生及び中学生を対象にした科学啓蒙誌で、かなり高度な内容を易しく解説すると共に、天体観測・昆虫採集・植物採集・鉱物採集などの実技、さらに模型工作  ( 飛行機・鉄道・船舶 など )  の記事が売りでした。この雑誌の内容は、小中学校の理科の教科書よりも範囲が広く、レベルも高いものでした。
   老生が特に惹かれたのは、山北藤一郎が毎号のように執筆していた電気模型の製作記事でした。それを読んだ老生は、学校で習う前に   "フアラデーの電磁法則"   を知り、応用として  "電磁石" 、"電信機" 、"電動機"   などを自作しました。1940年頃ですが、当時は模型材料店などは東京・大阪でも数店しか有りませんでしたから部品・材料の入手には苦労しした。また、金属材料が主でしたから手持ちの工具だけでは、加工・細工が困難で、様々な工夫もしました。
   後年、老生が大学で通信工学を専攻した時、級友の大半は  「子供の科学」  を愛読し、山北藤一郎の模型製作記事に熱中したと語りました。さらに卒業して勤務した電機メーカーの技師の殆どが、老生と同様の経験を経ていました。してみると、1960年代の技術革新・高度成長の中心人材は、「子供科学」  により育てられた、と云えそうです。
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上左図は山北藤一郎氏,上右図は氏の著書の表紙です。氏は模型少年の憧れの的でした。また、氏は多く模型の関わる書籍を著しましたが、この書物はその一例です。

       老生は、大学では “電気通信工学” を学び、某電機メーカーに就職しました。ここで最初に与えられた仕事は、無線機器の電源回路の設計でした。交流100v の電力線から、無線機を動作させるのに必要な高圧直流および低圧交流を得るための変圧器および整流回路が必要になります。新米の老生は変圧器の設計を命じられました。この時に、老生は山北氏の著書を参照して、30分ほど計算尺を操作して解を得ました。大学で電気機械の講義は有りましたが、理論や大型機器の構造が主で、小型変圧器の設計法は無かったのです。山北氏の著書には、模型用小型変圧器の簡易設計法が記載されていて、それが実用器材にも立派に通用したのです。
   山北氏は模型界では著名人でしたが、一般社会では無名の人でした。また、「子供の科学」 を創刊した原田三夫氏も知る人は少なかったと思われます。このような先覚者の業績は高く評価すべきだと思います。
                <以下次号>

 

 

 

 

 

 

 

 

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