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2021年11月14日 (日)

No. 286 : 往時茫々 昭和・平成・令和を生きて (24)

「 " 人類の欲求5段階説 "  が話題になった頃 」

       1954年に米国の心理学者 " A.H.Maslow 博士 "  が " Motivation & Personality "  と云う著書を著し、世界中の知識層に読まれました。日本でも直ちに邦訳され " マズローの欲求5段階説 "  としてサラリーマン仲間での格好の話題になりました。

          Motivation-personaity 

   
   

   その要旨は、「 人々の欲求は、最も素朴で本能的なレベル、即ち ” 生理的欲求 "  から " 安全の欲求 "  に移り、次いで " 社会的欲求 "  になり、さらに " 承認欲求 "  に昇華し、最終的には " 自己実現欲求 "  に至る 」 と理解できます。

   一般に生物は、生存それ自体が目的? ですから  " 食と性 "   が最も基本の欲求です。下等な生物は、この  " 生理的欲求 "  だけで生きています。人類も発生当初はそうでした。それが、一応満たされると次の欲求は  " 安全 "   です。外敵や自然災害から身を守ろうとして、動物は巣を作り、人類は洞穴などに棲み原始的な武器を創りました。
   次の段階は  " 社会的欲求 "   です。動物は群れをつくり、人類も集団生活を始めます。これにより、生理的・安全の欲求の実現がより充実しました。
   群れや集団が形成されると、リーダー的な存在が発生します。 " 猿の群れでのボスの座争い "  などは、しばしばテレビで報じられるほど有名です。人間サマの場合は官公庁や企業など  " 組織体の中で地位争い "   が熾烈です。これが、” 承認欲求 "   の一例です。また、組織に属さないフリーの職業人、例えば芸術家・文筆家・アスリート・芸能人などは知名度・人気・などを求めて努力します。これも、" 承認欲求 "  の一形式でしょう。
   最高の段階は  " 自己実現欲求 "  です。この説明は中々難しく、当の Maslow 博士の著書や、他の紹介書・解説書を読んでも浅学非才の老生にはピンと来ません。老生なりの理解では、孔子の論語の中の一節、「 七十 (歳) にして心の欲するままに行えど矩
を超えず 」  と云う句が近いのではないか、と考えます。敷衍するならば、「 思うままに振舞っても、人間社会の規範から外れる事のないような人格を形成したい 」  という欲求でしょう。

        Maslow 博士は心理学者ですから、多くの資料を漁り、思索を重ねて世界的な大著を著したわけです。一方、日本では、「 金→地位→名誉 」 という願望のステップが、俗世間の人々でも普通に語られていました。

   例えば自営業の人々は、先ず経営の安定化を目指します。換言すれば、あるレベル以上の収益が定常的に得られるように努力します。これは、容易なことでは有りません。老生の父親は呉服屋  ( 和服および生地の売買 )  を営んでいましたが、子供心にも大変さを感じていました。
   自営業者の中でも相応の成果を挙げた方は、同業者の組合幹部となり、さらに商工会議所などのメンバーに選出されたりしました。ここまで来ると、それなりの社会的地位を得たことになります。さらに、そのような立場において業界の発展に尽くし実績を重ねれば、国家的な栄誉を得るケースも有ります。

   " 松下電器産業 ( 現パナソニック ) "  の創業者である  " 松下幸之助 "  などは、その代表的な方でしょう。氏は、一介の町工場主から世界的な大企業の経営者に登り詰めました。その過程において巨万の財を積み、 " 経営の神様 "   と云われる程の地位を築きました。さらに某有名大学からは  " 名誉法学博士 "   の称号を贈られ、米国の有名誌の表紙を飾り、世界的な  " 大実業家・哲学者 "  として紹介されました。
   " ソニー "  の創業者である  " 井深 大 "   も同様です。無名の町工場でありながら、業界に先駆けてトランジスターを国産化し、世界初のトランジスター・ラジオを開発して  " 電子立国日本の礎 "   を創りました。氏は、母校の大学から  " 名誉理学博士 "  の称号を贈られ、国家からは  " 文化勲章 "  を授けられました。
   お二人とも、「 金→地位→名誉 」 の階段を登ろうと
望むようなお人柄ではなかったと思います。自ら天職と信ずる仕事に没頭した結果、期せずして  " Maslow の欲求5段階 "  の高位レベルに達した方と理解されます。

    公務員や会社員などは、地位の向上を目指す人が多いようです。これらの組織の給与は概ね " 学歴別・年功序列 "  です。この給与システがムには多くの批判が有ります。 組織体に対する貢献度に対応した与にすべきだとの正論は常に有りますが、その実施は不可能に近い、と云えます。組織には多くの職種が有り、その各々に就いての評価の尺度を定めるのは困難です。
   老生の経験では、同学歴・同勤務年数の場合、業績評価では相当の差が有っても給与の差は ±10%程、賞与の差は ±20% 程でした。つまり、収入額では大差は付けないのです。それに代わって、昇任・昇格には差を付けました。班長→主任→係長→課長→部長 と云うような役職 ( 地位 )  に就けるのです。それによって、権限・裁量は増えますから給与額の差は多く無くても、ご当人の意欲を高められます。
   さらに、優秀な社員は社外の委員会などに参加したり、政府の審議会に出席する機会が増えます。このような場で相応の業績が認められれば、公的な栄誉 ( 表彰・叙位・叙勲 など )  を得るケースも有ります。
   上記のように公務員や会社員は、地位の向上にともなって、それなりの収入増は得られますが、それでも、世間的には無名であっても実利を得た自営業者よりは遥かに少ないのが実状でしょう。

   学者・研究者・評論家・作家・芸術家などは、名誉 ( 名声 ) からのアプローチではないでしょうか? 学者・研究者の場合は、博士号・論文賞など、評論家・作家などは ベストセラー・文芸賞など、芸術家は作品の評価などです。それを経て地位が定まり、経済的な見返りも増えます。

   ブロガーは、アプローチのプロセスに就いて批判する意図は持ちませんが、敢えてコスパ的な見方を執ると、ずいぶん差があると感じます。
   例えば、プロ・スポーツや大衆芸能の世界では、「 金・地位 」  を同時に、しかも若年時代から得られるケースが多いようです。晩年に至れば国家的な「 栄誉 」 を得る人もいます。また、猛烈な受験戦争などの経験も無くて済みます. 下司の勘繰りで云うならば、コスト・パフオーマンスは高そうです。( 認められるまでの修行や同輩との競争に苦労は多大であっても。 )
   一方、学者・研究者・評論家などは、「 地位・名誉 」   からのアプローチが多いと感じます。その上で「 金 」  が付いて来るケースも有りますが、微々たる値が普通です。( 中には特許料などで莫大な収入を得る方も居られますが例外的でしょう。)  それですから、コスパ的には低いでしょう。
   作家・芸術家などは、「 名誉・地位 」  からのアプローチだと思います。その後には「 巨万の富 」   が追従するケースが多いようです。コスパ的には中程度でしょう。
   ブロガーは技術系の給与生活者でしたが、コスパ的には割が悪いと感じています。公務員や大企業の研究職や技術職に就くためには、然るべき理系に大学・大学院を卒業しなければならず、
そのための学費や勉強量は莫大です。換言すればコストは多大です。その上、就職すれば給与は文系大卆と同一です。組織の中の昇進も一般には遅いようです。勤務外の時間も先端技術を常に追いかけて勉強が必要です、そのために自費を投じる場合も少なく有りません。こんな環境だけを比較するとコスパは最低とも感じます。
しかしながら、自分の好む道に進み、専門分野についての見識は誰にも負けないと云う自負を持てる事や、国際会議などに出張する機会に恵まれるなどのメリットを考慮して、それなりのコスパかな、と自分で自分を納得させざるを得ません。

   Masow 博士の名著の紹介から脱線した感が無きにしも非ず、の拙文ですが、ご披見いただければ幸いです。

                   < 以上 >

 

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